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「あのハリセン、どこで手に入れたのだろう」と言う疑問を俺が持ったのは
夜空がいつものように恋愛シミュレーションの薀蓄を誰にも問われてないのに
浪々と披露し始めた星奈をハリセンで軽快にぶっ叩いた音と同時だった。

「黙れ肉。貴様は本当に学習機能がないようだな。
 何度そのくだらない低俗な話題を私の前でするなと言えば貴様はわかるんだ?
 学習せず、他人に不快感だけを届ける上に煮ても焼いても食えんとは、
 貴様はもはや肉ですらない、ただの害獣だな。とっとと失せろ害獣」
「流石にそれは良いすぎじゃない!? なによ害獣って!
 あんたってあたしに厳しすぎじゃない!?」

 相変わらずの毒舌を淡々と口にする夜空と、
それを受けて既に涙目になっている星奈。
俺はいつも過ぎる慣れきったやりとりを聞きながら、
ただただチンピラ教師が木刀でやるようにハリセンで肩を叩く夜空を眺める。

「あれ、手作りって訳じゃなさそうなんだよなぁ」

 しょっちゅう夜空に酷使され、人の(特に、というか主に星奈の)頭を
思いっきり叩かされているにも関わらずくたびれた様子がない辺り
結構ちゃんとした素材で作られた物だと思う。
けれど、夜空がわざわざ音は派手ながらもダメージはそこまででもない
インパクト重視の実は優しい武器を自腹で買うとは思えない。
星奈のためにそんなことをするくらいなら夜空は
広辞苑とかで素直にぶん殴っている。

「アレってなんのことですか小鷹先輩」

 どんどんヒートアップしている夜空と星奈を視界に入れて
考えに耽っていると、零れ出た言葉に反応して隣で読書していた理科が
顔を上げて聞いてきた。……その際閉じた本の表紙が一瞬見えたが
それに関してはノータッチで。

「あれは、ほらあれだよあれ」

 独り言に反応をされるという事に親しみの無い俺は
咄嗟に単語がでてこず、言葉の不自由な感じ全開で夜空を指差してみた。

「あぁ夜空先輩ですか。あの丁々発止と口からでる罵詈雑言は
 自分に向けられていないとわかってても興奮しますよね!」
「よし黙ってろ」

 理科はもうダメだ。
というか常にダメだ。気にしたら負けかなと思っている。
というか負けだ。こいつに話しかけられた時に無視できなかったら負けだ。

「無視されたらもっと興奮しますよ!」
「黙ってろマジで!」
「はふんっ!」
「だー! こいつ本当面倒くせーー!」
「理科は先輩を束縛なんかしません!
 むしろ束縛してください! そして無茶苦茶にしてください!」
「引っ込んでろ!」

 えーっと、なにを俺は考えていたんだっけか?
……そうだ、ハリセンについて考察を重ねていたんだ俺は。
けど、星奈と会った後に買った訳でもなく、
手作りでもないとなると前から持っていたって事になるのか?
……友達のともちゃん(本当安直なネーミングだ。
黒猫にクロ、白い犬にシロとつける人間のネーミングだ)しかいない夜空が?

 なんだろう、誰も居ない自室で一人で談笑(?)しながら
虚空にハリセンを振る夜空を思い浮かべたら涙がでてきた。

―――

 キャラ把握してないのに勢いでやったら
 全然頭の中で動かなかった
 

 この作品はオリジナルキャラがでてきます
 そういった物に嫌悪感のある方、拒否感の強い方は
 読まないでスルーする事をおすすめします。

01.

 阿良々木月火は、阿良々木暦にとって大事な妹であると同時に
僕の中で最も身近で、最も恐怖する対象である。
それは戦場ヶ原の性格が穏やかになる以前から変わらない、
いやそれどころか、彼女と出会う前から、月火が物心ついた頃から、
ずっと何年も変っていない一つの固定観念みたいな物だ。

 実際僕は月火に千枚通しで風穴を開けられそうになったり、
包丁でナマス切りにされそうになったり、
五寸釘を体内に幾つも埋め込まれそうになったりと
その過去の事例を挙げるに暇が無く、切りが無く、事欠かない。
僕は日常生活を送る中でなにに気をつけると言ったら、
第一にここであると言って過言で無いほどに
阿良々木暦の下の妹、阿良々木月火は親愛の対象であると同時に恐怖の対象だった。

 ただ、勘違いはして欲しくない。
上記のような経歴を見てからではやや遅いかも知れないが、
しかし阿良々木月火が単なる暴力魔やそれに類する何かであるような
そういった誤解はして欲しくない。
僕の下の妹は、思うに不器用なのだ。
感情を表現することが、人と触れ合うことが、
そしてなによりも生きることそのものに対して、不器用なのだ。

 不器用だから。器用じゃないから。
細かいことが苦手で、迂遠な物は不得手で、
だからどこまでも真っ直ぐで、実直で、そして素直。
自分の感情を隠したり、誤魔化したりできず、
遠回りに伝えることなんてどうにも難しい。

 僕と月火は仲が良くない、むしろ悪いと言って問題ではないが。
けれど兄弟だ。アリバイが成立しないほどに、近しい。
だからこんな甘い評価を下すのだ、と思われるかもしれない、
なにを戯言をと一笑に伏されるかもしれない。
実際、月火がなにか問題を起こしてフォローをする僕に、
大抵の大人はそういって欠片も僕が言う月火像に関心を持たなかった。

 兄の欲目、想う故の盲目。
好きに言うが良い。
どうぞ御自由にだ、妹の名誉のために汚名を受ける。
兄としてそれこそが最高の名誉じゃないか、
諸手を挙げて受け入れてやろう。

 けれど僕は、それでも言い続けよう。
声高に叫び続けよう。
阿良々木月火はどこまでも不器用で、真っ直ぐで、だからこそ美しいのだと。
限りなく純粋な少女なだけなのだと。


 無論、美しいだけで正しいわけじゃない。
美しくあっても正しくは無い、多数の人に、理解されない行動原理。
どこかしら歪で、どこかしこと不安定。
真っ直ぐで、歪。それはやっぱり、どうしようもなく怖い物なのだと想う。

 まるで、いつかの僕のように。
周りのもの全てを傷つけるのではないかと、思ってしまう。
きっと月火は否定するだろう、
自分が僕に似ているだなんてそんな事実を全て否定しつくすだろう。
けれど、月火。お前は妹で、僕は兄なんだから。
きっと似ていて当然なんだ。

 だから、結果も、きっと似てしまう。

 どうしたって、僕達は兄妹なんだから。

 蝉時雨が俺の耳朶をドラムロールのように一つの音の連なりとして叩く
雲ひとつ無い晴天と呼ぶに相応しい常夏の空の下。
しかしそんなカラッとした外出日和であるのにも関わらず街はどういう訳か閑散としていて
都心の駅前という場所にも関わらず視界には人っ子一人見えやしない。

「……二駅も前でとまるとはついてないな」

 太陽が鋭い光を浴びせてくる俺はそれを遮るように手を翳しながら
俺は緊急停止してしまったリニアの駅を後に携帯を取り出して
以前送られてきた番号に記憶を頼りにかけて見るものの
聞こえてくるのは無機質な合成音で告げられる非常事態宣言の勧告メッセージ。

「電話も通じやしない……」

 溜息を吐きながら煌々と光る太陽によって滲む汗を拭って仕方なく歩き出す
考えてみれば電話など通じるはずが無い、
そもそも俺がこうして日の当たるところに居ることの方が異常なのだ。
この周辺の半径十数kmにも及ぶ地帯に住む人間は誰彼かまわず、一人残らず、
地下十数メートルにも達する位置に存在する分厚い金属で囲まれたシェルターの中に居なくてはならない。



 シロガネ山より の続き

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