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ちょっとした思索的実験、乃至は試作的実験


 01.

 私は、ここにいる。

 02.

 生まれたときから、決まっていた、らしい。
僕の知りうる範囲の事柄では、当然無いから
それはどうやったところで伝聞の域を超えないのだけれど、
しかしどうやら、僕等がこうして、ここで、こうやっていること、
その全てが、生前から、決まっていたらしい。
僕等の母が幼少の頃から、僕等の父が幼少の頃から、
僕等の存在など影も形もありはしないそんな過去から、
僕らはとある力によって定められていたらしい。
 運命の子、と。
 予知能力。プレコグニション。
遥か未来を見通して、予め知ることのできる能力。
それによって、僕等の一生は固化され固定され固持された。
戦い、戦い、戦い、そして戦う一生を義務付けられた。
そして現に、僕等は一抹の疑問も一部の疑心も一瞬の疑惑も持たずに、
完膚なきまでにこれまでの人生を
戦って、戦って、戦って、そして戦って過ごしてきた。
そこに自分の意思はなく、自己の意図はなく、自身の意向は無い。
大人達の都合のいいように、僕等は剣を構え、振り上げ、
そして幾度となく振り下ろしてきた。
黒葉、と呼ばれる、人外の獣を、化け物を、化獣を、
殺して、殺して、殺して、そして殺してきた。
大人達は、どうして彼等を殺さなくてはならないのか、
僕等に教えてはくれなかったし、僕等も特に教えてもらおうとは思わなかった。
ただ、力の無い、無能力者足る大人たちを、
力の有る、異能力者である僕等が保護するのを、当たり前だと、
そう信じていた。……いや、違うな、信じるも何も、だから僕等は
それを呼吸と同じ、無意識の領域で、平然と甘受していたのだ。
洗脳、とすら言える、深い深い不快思考操作。
そう、調教。今なら、はっきりと理解し把握し認識できる。
あれはただの傲慢な搾取でしかなかったのだと。
だからこれは、下克上で、そして戦争だ。
散々使い倒された僕等がやっと気づき、行ったクーデターの話だ。
どうしようもなく、薄くて弱い自我しか持たない僕等のせめてもの反抗の物語だ。
力無い大人よ、数でしか勝れない無能力者達よ、
その瞳にしかと焼き付けろ、、
道具以下の使い捨てのガラクタと扱って来た僕等の手で滅びろ。
それは自分達の業の成れの果てだ、
僕等が守らなければ二日と持たぬ命、僕等が支えた命、
僕等の手で一つ残らず散らせて見せよう。



 03.

 千九百九十一年、五月二十八日。
それが僕の生まれた日だ。
そして僕が死んだ日でもある。
僕は生まれながらに死んでいた。
人としての尊厳を、存在を、意味を、意義を、
ヒトとしての全てを生まれた瞬間に奪われた。
名も無く、ただ力だけを求められた僕は、決して人間ではない。
僕は、ガラクタだった。

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