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人識「……俺のナイフが粉みじん」

 ナイフが散乱していた。
数えるのも馬鹿らしい位の数のナイフが、
一本の道を作るかのように地面を覆いながら続いている。
もはやナイフとしてこれ以上使用することなどできない程に
折れ、砕け、ただの鉄片としか判別できないものすら混じる。
零崎人識は、そのほぼ中心に息荒く肩膝に座っていた。
身に纏う服は千切れ、ところどころに血が滲んでいる。

「はぁ…、はぁ…」
「ふぅ…、へぇ…」

 背中合わせ。
零崎人識に寄りかかるようにして、同じく息を荒げる少女。
やはり所々がほつれ、襤褸切れになりかけた衣服を着ている。
べつにパンク系という訳ではない。

「撒きましたかね……?」
「いや、無理だな……」
「……はぁ。……なぜ、です?」
「一時間経ってねぇから、な」
 言って人識は立ち上がる。
ジャリと分厚い底のブーツがナイフの破片を踏みつけにして音を立てる。
もう一仕事といった感じで首を回しこきこきと骨を鳴らし、
周囲に気を張り一歩後ろに下がる。
合わせて少女も立ち上がり、どこからか取り出した鋏のような凶器を口に咥える。
よくみれば、少女が切る服から覗く両手に
おおよそ指や掌や手の甲と呼ばれる部位が拝見できない。

「はぁ……、傑作だな……」
「毎度思うんですけどその傑作ってなんなんですか? 地味に気になるんですよ」
「ん? これの意味?」
「ですです」
「……戯言じゃねぇ、ってことかな?」

 バァーンッと近くにあった気が轟音と共に吹き飛び、
細かな木片に変わり果てる。
濛々と煙を立てる、先刻まで大樹がたっていた場所に、人型のシルエットが一つ。

「ひゃっはー! みーつけちったぜぇ!」
「……ほんと、やってらんねぇ」

 牙のように鋭い歯を見せ付けるように、
豪快に笑う人型のなにか。
華奢な体躯に、異様に長い腕、
同じく長い指を小刻みに動かしながら宙に舞う木片の中で、
屹然と超然と慄然と悠然と仁王立ちの体制を解かぬそれ。

「あと十分、それがてめぇらに残された時間だ」
「ごちゃごちゃ言ってねーでさっさと来いよタコ
 こちとら制約ありきでお前を殺せないんだからよ
 そっちからかかってきてくんないと、ちょーこえーおねえちんに殺されちゃうのよ」
「わたしとしてはできるだけゆっくりと来て頂けると
 時間的にも体力的にも助かるんですけどね…」

 破壊と破綻と破損と破砕。
それだけが今現在のこの空間を支配する概念の全てで、
この場に居る三人を支配する感覚の全てだった。
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