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僕等は「USB」と「平塚」に捕らわれているようです

 キャラ設定

茶屋 抹茶《ちゃやまっちゃ》 

自分 黒く直方形のUSB 男 未成年

僕たる語り部 丁寧語キャラ
USBの所持者 紅茶党の甘党 
身長170cm 体重53kg
ハイパーダッシュ内臓のオキシライドバッテリー
USBの色合いは黒 内容フォルダは八百五十四
補足だがフォルダ一つに人間一人分のデータが蓄積される


鐚走 監獄《あばしりかんごく》 

友人 橙の直方形 男 未成年

広い由緒ありそうな日本家屋が実家
しかしその敷地を囲むように巨大な分厚い塀が囲っている
よくある思春期の同級生キャラ
身長173cm 体重58kg
茶屋の唯二無三の友人

鰐待 列車《わにまちれっしゃ》 

友人 白い流線型 女 未成年

放棄された電車を家代わりに使ってる
豪快な性格のサバサバしたキャラ
身長164cm 体重不明 B80 W55 H81
茶屋の唯二無三の友人

桃透 絶ナ《とうすぜな》 

不明 不明 不明 不明

身長152cm 体重42kg
B77 W54 H79


盗人 善《ぬすびとぜん》

かませ犬 桃色の波型 男 22歳

バイクが趣味で、有用と判断されたファイルの一つが
所持するバイクの情報。
USBは移動機械の鍵にもなり、所有データのないUSBには反応しない

―――

 TOT現象しかり、ゲシュタルト崩壊しかり、
人間の脳というのはなんだかんだいって貧弱な作りをしている。
同じ字や物を見続けると認識に齟齬が発生して、
正しく視認できなくなったり。なにか行動を起こそうとした次の瞬間に
ぽろりとなにをしようか忘れてしまったり。
脳のCPUはどうにも性能が悪くちょくちょく処理落ちするような
どうにも出来がいいとは言い難い作りをしている、
コンピュータの記憶媒体としてはジャンクもいい所だ。

 だが、じゃあそれは脳味噌自体の性能の限界なのかといったらそうじゃない。
RAMとしてもROMとしても脳味噌自体のスペックは華々しい、
見た物、聞いた物、嗅いだ物、味わった物、触れた物、
その全てを記憶し、忘却せず、一生を過ごすだけの容量があり
実際そういった能力を持ち、過ごし、死んでいく人間も存在する。
暗算で三桁以上の累乗計算を行う人間も存在する。
何千という未来を幾許かの時間で読み取り最善を狙い戦うものも存在する。

 しかしそれはもはや人外魔境の様相を呈した存在、
一種の超能力というべき物。従って僕の様な一般人(この場合一般人という
括りが必ずしも人類の中で最も普遍的な形から外れてないという意味ではない)
が使いこなせる脳の能力などたかが知れていて、
ゆえに僕は鐚走の家に向かって歩みを進めていた。

 本日、僕はふとその活用し切れてない脳の度忘れの所為で
鐚走の下の名前をすっかりかっきりさっぱりしっかり忘れてしまった。
人間というのは本当に適当な生き物で、前述のような特殊な脳回路をしてる
人物でなければ物事をどんどんと忘れていく。
どんなに得意な科目だって、一年もやらねば解式なんて忘れるし。
どんなに親しい相手だって、一度も呼ばねば下の名なんて忘れる。
僕はいつも鐚走のことは鐚走としか呼んでいなかったし、
あいつも僕のことを名前で呼んだことなど過去一度も無いだろう。

 それでもやはりたった二人の友人の名前を忘れるというのは
不実極まりない当然のマナー違反だろうので。
僕は事前連絡、所謂アポイントメントを取ることなく
思い立ったが吉日とばかりに鐚走の家にのんびりと歩いている。

 いや、べつに家に向かってるからといって
本人に会って直接「お前の名前なんだっけ?」という質問をするつもりではない。
流石に人付き合いに疎い僕でもそれはタブーだということくらいは理解できる。

 僕は足を止めて目の前に広がる異様な光景に
しばし目を留めて、三秒程度してから踵を返して
来た道をそのまま辿って帰路に着いた。
アポイントなど、そもそも取る必要はないのだ。
僕はあいつの家に行って誰かに答えを教えてもらいに来たわけじゃない、
あいつの家を見に来ただけなのだ。

 さて、関係ないがここは石垣島じゃない、
ましてや沖縄ですらない、立派な首都圏である。
そして広い、由緒正しく格式高い旧日本家屋。
それが鐚走の実家、なのだ。
端から端までで1200m走ができるあいつの家はでかい、
そして異様で、異端で、異形で、異常だ。
広い敷地に存在する屋敷といって構わない日本家屋。
その高い高い屋根よりもさらに高い石垣。
厚さも優に1mを超える分厚い石の壁が周囲をグルリと囲っている。

 僕が見たかったのはその光景だけだ。
だからさらに正鵠を記すのであれば、僕は家を見に来たわけですらなく。
家を囲むこの圧倒的な存在感を誇る壁を眺めに来たのだ。
この石壁は、そのまま鐚走の名前を表している、
名は体を現すなどという陳家で陳腐な物言いがすんなりと当てはまるほどに。


 鐚走監獄。
 僕のたった二人の友人の一人が彼だった。

―――

 べつにその二人が僕にとっての愛と勇気って訳じゃないが、
しかし我ながら自分の交友関係に対し少々疑問を覚える。
友人なんて心の底から信頼できて、助け合える、
自分の全てを打ち明けられる親友が一人居ればいいと聞くが、
ならば件の二人の友人がそれに匹敵するかと言えばとんでもない。

 鐚走も鰐待も確かに友人である、確かに親しい。
だが僕が彼らに信頼や信用を持っているのかといったら答えは否だ。
信じる心だなんてそんな陳腐な物を僕は古今東西一度も所持したことがない、
それは自分自身に対しても同じ事で、結局僕は疑心暗鬼の餓鬼だという意見もあるだろうが、
しかし鐚走も鰐待も人間性に圧倒的な欠陥がある奴で、
詐欺師の持ちかけた話よりも信じるに値しない者なのだ。

 まぁそんな奴しか友人が居ない僕も大概似たようなもので、
第三者から比較されれば不本意ながらほぼイコールで結ばれる事も理解してる。
僕も鐚走も鰐待も、どいつもこいつもここらに住んでる奴らは馬鹿ばかりだ。
頭のネジを纏めて落として、隙間にこびり付いた錆だけで辛うじて形を保ってるような
どうしようもない糞野郎の掃き溜めのような場所。
それが僕等の住む日本国内特殊自治領域、平塚という街だ。

 《特殊自治領域》
つまりは法治国家たる日本から隔離された独自の体系で成り立ち、
全ての事象をその内部で処理し、解決させる治外法権のようなもの。
この場所は、日本という国から見離され、見捨てられ、見限られた、
陸の孤島とも言える小さく小汚い町なのだ。

 アンダーグラウンド、とでも言うと理解の助けになるだろうか?
あるいはとある世界での長崎、とか。
どちらにせよ、この場所がまともに成立していないことだけはわかると思う。
抜け穴だらけとはいえ、日本という国を先進諸国の中でも指折りの上位国として
きちんと成していた法がこの土地ではなくなり。
代わりに自法と呼ばれる必要最低限のロボット三大原則のような
曖昧で有耶無耶な物がここでは法として確立している。

 一つ、人は人を殺めてはならない。
 一つ、人は人の所得物を奪ってはならない。
 一つ、人は人の所得物を破壊してはならない。
 一つ、人は銃砲刀剣類の所持を認めない。
 一つ、USBを介した結果であれば上記に反してもこれを罰しない。

 三大ではないが、これが基本的にみなが知る最低限の原則。
こんなものはいまどき馬鹿な小学生でも当然と弁えていることで、
それしか明記されていないということは法などあってないものだと言う事だ。

 現に、殺めることを禁止しつつも殺さない程度の暴行は禁止されていない為、
外を歩けば頻繁に暴力的でグロテスクなシーンにでくわす。
他にも、奪うのはダメでも譲渡は許可されているし、恐喝も許可されている。
この為暴力に頼った脅しによって、友好的に金銭の受け渡しが行われてる場面にも、
やはり多々でくわしてしまうのだった。
僕が外を出歩きたくない理由の三つの内の一つがこれらだ。
外を歩けば巻き込まれてしまう。
スリや強盗、また家を空けてる間に空き巣が入ったりはないのだが、
友好的に近寄ってきた人間に友好的に多額の金額を譲渡してしまう羽目になる。

「はぁ…、面倒ですね…」

 そして五つの項目の最後。
USBの効果としての凶器の所持、USBの結果としての所持品の強制的な所有権の移行、
そしてUSBを介した人死には罰は科せられないという。法とは名ばかりの無法。
恐喝、暴行の現場に比べれば頻度は非常に少ないが、
そのラストの無法によって死体を目にすることも稀にある。
他人の屍なんて、見たくも無いものをまざまざと見せ付けられて、
ただの子供たる僕は一体どう反応しろというのだろうか?
僕がでたくない理由の三つの内の一つがこれだ。

 そして最後の一つが。

「面倒? そりゃ俺の方だぜ、お前みたいなガキの相手をするんだからよ」
「僕はしてくれと頼んだ覚えはありませんよ。勝手に現れてなにを言ってるんですか」

 USBを僕が持っていることだ。
この土地に居る以上、所持者はそれとわかるようにそれを常時持ち歩かなくてはならない。
これは法にはないが、ローカルルールみたいなものだ。
それに結局USBを隠したところで首にあるコネクタから悟られるのだから、
USBを置いた所で戦う術が無くなるだけで戦いを避けられない。
ならば持つしかないのだろう。

「ついでに言っておくが俺のUSBの内容量は七十と八だ」
「はぁ、それは凄いですね」
「お前の分、加算させてもらう」

 噛ませ犬の発言どうもありがとうございます。
僕はそんなことを思いながら似合わぬ桃色のUSBを首に接続し、
機関銃のインストールを始めた見知らぬ男を眺めていた。


―――


 鐚走の家から歩いて一時間程。
僕は一つの川、その脇に広がる長い雑草が生い茂る地帯にぽつんと、
線路なんか周囲にありもしないのになぜか存在する二両の電車の車両の前に辿り着いた。

 久しぶりに家の外にでたついでに鰐待の所にも向かうことにしたのだ、
親友だの信用だの、前述のとおり僕はこの二人のどちらにも抱いていないが。
しかしあえて、どちらがより近いかと言えば鰐待の方になる。
それは鐚走が男で鰐待が女で、そして僕が男だからとかそういった意味じゃない。
ただ単に、比較的鰐待のほうが好ましい性格だからというだけだ。
まぁそれもあくまで比較的なわけで、
やはり鰐待自体は破天荒で手のつけがたい人物なのだけど。
…実は僕自身の住居からは十五分もしない距離だったりもするこの川原。
鰐待はこの二つの傾いて蔦が無茶苦茶に絡みついた電車両に住み着いている。

 電気の通ってない電車のドアなんてのは、
それなりに大きな衝撃によって窓なり扉そのものなりを破壊しなければ
中に入れない一種壁のような物なのだが、鰐待はそれを素手で襖の様に開閉する。
いまだって当然電車にチャイムなんて無いのでごんごんとノックをして、
数秒も経たないうちに片手でヒョイと絶縁扉並みに硬く閉ざされてるドアを開くのだ。

「よっす緑茶」
「…いや、まぁ間違ってないんですけどね」

 タンクトップにハーフパンツというキャラクター性を考えると
ステレオタイプとすら言える出で立ちの鰐待。
しかしならば一緒に装備してそうな物品、煙草や酒類は所持していない。
未成年ならばしかるべしなのだろうけど、その辺役になり切れて居ないと思う。
いや、キャラとか役とか、どうにもメタ的だけれど。

「とりあえずあがるか?」
「まぁ、こんな虫だらけの場所で会話を行いたくはありませんからね」
「ん、じゃあ入れよ」

 言ってさっさと中に入ってしまう鰐待。

「あ、扉閉めといて」

 …無茶言うな。

「で、ぶっちゃけなんの用事な訳? めんどいからちゃっちゃと本題入れよ」

 車両の中は座席が取っ払われ、
冷蔵庫にテレビに炊飯器や電子レンジ、湯沸し器や冷風機なんぞもある。
照明だって当然あるし、もう一つの車両にはベットもある。
生活水準はむしろ僕より良好と言える。
どうやってガスや水道や電気をここに引いてるのか僕は知らないし興味ない。

「はぁ、べつに特筆した用事はありませんが」
「嘘ぶっこいてんじゃねぇぞ」
「割かしマジですけどね、強いて言うなら会いに来たと言うところですかね」
「誰にだよ」
「あなた以外に誰がこんなところに居るんですか?」
「あー、マジで私に会いにきただけなわけ?」
「そうですよ、僕が信じられないんですか?」
「信じてくれねぇ奴を信じれるかボケ」

 まぁそりゃ正論。
僕は黙ってだされたコーヒーを啜る。苦い。
なんで砂糖やミルクがないんだ。馬鹿なのだろうか。
ブラックが格好いいのは中学生までだ。

 表情にはださないで、取り合えずマグカップを机に戻す。
そもそも僕は基本的に紅茶派なのだ。
僕の家には紅茶葉がいつも十数種類置いてある。
こだわりはないけど、もう癖みたいなものだ。
ないと落ち着かない。…となると癖というより一種の中毒だな。

「お前が私に会いにねー。用事があるよりむしろこえぇよ私は」
「その言い方は心外ですね。
 けどまぁさらに言うならば鐚走の家に向かったついでという感じですかね」
「鐚走の家? 行った所で意味ねぇだろ、あいついつも居ないし」
「えぇ、会いに行ったんではなく家を見に行ったんです」
「…また名前忘れたのか?」
「度忘れです」
「度忘れが多いんだよ。自分の名前わかるか?」
「緑茶」
「それはさっきの冗談じゃねぇか」
「でしたね」

 冗談は置いといて。
確かに用は無いけど意味も意図も無いわけじゃない。
そこまで僕は愚鈍な人間では無いはずだ。
僕は真剣さを演出しながら一つ咳払いする。

「鰐待」
「ん? なんじゃらほい」
「今日またデバイスに会いました」
「ですですか」
「危うく蜂の巣にされまる所でしたよ」
「ふぅん、へぇ、ほぉ」

 ここまで完膚なきまでにどうでもよさそうにされると
僕の方までどうでもよくなってくる。
こういう伝播はよくないなぁと思いながら、ため息を吐いて
少し調子を砕いてから再度話を試みる。

「最近ちょっとばかし多いですよね、こういうの」
「まぁな、私も先週タンクローリーの操作法を覚えたぞ」
「それはまたずいぶんと愉快ですね」
「結局通常の車とサイズ以外かわんねぇけどな」
「そんなもんですよ、実際は」

 知らないものほど想像と妄想と偶像とが混ざる。
例えば銃を海外などで実際に撃ったことがある人ならば感じたことがあるだろ。
『あれ? この程度の物なのか? こんな物なのか?』
そんな肩透かしにも似たなにか。
自分の日常や平常から離れたものほどそれは大きくなり、過大で過剰な期待。
見ると聞くとは大違い、百聞は一見に如かず。
僕だってこの街の腐乱さをちょくちょく解説したものの、
しかし外からこの街を見ていた時、伝聞として知りえた知識で感じていた感覚は、
実際に足を踏み入れるとあっさりと雲散霧消してしまった。

 日本という国にある地獄。
      ・ ・ ・ ・
 それはこの程度なのかと。
一蹴し、一笑に付したものだ。

 結局真実なんて、良い意味でも悪い意味でも、
想像より、思っていたよりも良かった悪かった、なんてことは無い。
この世にあるトップとボトムの差なんて、大して違いなど無いのだ。
自治領域の内外での違いだなんて、突き詰めれば人が上品ぶってるかどうかの違い。

 酷く稚拙で乱雑で適当な作りをしているのだ。
人間も、社会も、世界も。

「へーい煎茶君?」
「…誰ですかそれ」
「お前だよお前」
「…べつにいいですけど」
「で、言いたいことはそれだけ? 注意勧告?」
「ですね。…といってもどうせ思い付きです、暇なんでしょう? なにかゲームでもやりませんか?」
「おっ、いいねぇ。なにやる?」
「それでは将棋でも」
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