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ぽーん


 ポーンと妹が跳ねて、そのままボフンという音と共に見えなくなった。

「すげぇな。粉雪か……」

 都会の、人に、車に踏まれて汚れて溶けた雪しか知らない俺にとって、
積もったままの一面に広がる白い光景は新鮮で、軽い感動すら覚える。

 ましてや粉雪。感極まって飛び込んだ妹の所為で
舞い上がった白い粒は、雲の隙間から差す日光に照らされてチラチラと光っていて。
あぁ、北の国だなぁ。とよくわからない感想が浮かぶ。

「キタキツネでもでないかなぁ……」

 ふわふわと舞い、そして元の位置に戻った粉雪は、
また何事も無かったかのように一つの足跡も残っていない雪原になり。
向こうに見える林から黄金色をした毛並みの動物がでないかと
一人期待してみたりもする。

「……がっ……ん~! もがっ!」

 その情緒ある風景に、不意に奇妙な声が混じった。
妹の呻き声が、雪の下から微かに。

「でてこないと思ったら、出られなくなってたのか……」

 どこにダイブしたのかわからないくらいに元通りになった雪面に
適当に腕を突っ込み人らしきものを掴んで引っ張る。

「ぶはー! あはははは!」
「楽しそうだな」
「たのしー! あははははは!」

 犬の様な仕草で全身にこんもりとたまった雪を払って豪快に笑う。
生き埋めになっていたというのに元気な妹で、
見ていて非常に微笑ましい気分になる。

「ドーン!」

 笑う妹を眺めていたら突然突き飛ばされ、
軽快に雪に倒れこんだ。

 背中を襲った衝撃は思っていたよりもずいぶんと小さくて、
身体を覆うように雪が舞い上がっていくのを感じた。

「わぁ……」

 そして目を開けてみれば、
いままさに自分の身体に降り積もろうとしている雪が
先程見たそれと比べ物にならないくらいに輝いていて。
視界一面を覆っていた。
これが最後に見た景色になるなら、このまま生き埋めになっていてもいいかなと思うくらいに
それは美しくて、儚くも一瞬だった。

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