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うてこさんのお話 その六



「あの……、私になにか御用でしょうか?」

 目の前の行き止まりを見つめ、
うてこさんを見失ったという事実を目の当たりにした僕の背後。
つまりは全力でこの路地を駆けこの場に辿り着いたばかりの
今年二十一歳になったばかりの男のすぐ後ろに、彼女は立っていた。

 中学生……、いやもしかしたら高校一年位か?
とにかく十代半ばかそれ以下であることは間違いないであろう、
幼い顔立ちの、僕よりも一回り以上小さい少女であるうてこさんが、
息も切らさず長い髪も着ている衣服も乱すことなく。

 “まるで最初からそこに居て、それが自然であるかのように”

 極々普通に僕の後ろに立っていた。

「……っ」

 絶句。
それは僕からしてみると人間が一瞬で消え失せた事よりよほど奇怪で、
僕の正常な判断力を削ぐに十分な事態だった。

 消えたのは、まだ見失ったとか、見落としたとか、見損ねたとか、
現実的な理由が適当に見繕える。

 けれど……なんと表現すればいいか……。
まるでドラゴンボールの後半以降で宇宙規模の実力を持った悟空達より
初期のレッドリボン軍辺りの悟空の方が一般人にビビられていた……みたいな感じ。
“理解できる理解できなさ”“現実的な異常”とでも言えば少しは伝わるか。

 だから正直に言うと。僕はビビっていた。
ビックリしていたんじゃなくてビビっていた、
驚いたんじゃなくて、慄いていた。
急に走って火照った身体が一気に冷えていくのを感じる。

「あ、あの、どうかしましたか?」

 声をかけられて我に返ると、
うてこさんは彼女の十八番を奪うように俯いていた僕の顔を
心配そうな表情で覗き込んでいた。

「いや……。なんでもないよ、ちょっと息切れしただけだから」

 言いながら少し距離をとる。

「そうですか。急な運動は身体によくないですよ」

 彼女は安堵したように息をついてから言う。
それはなんの変哲も無い少女の動作。

「あぁ、気をつけるよありがとう、
 それとさっきの質問だけどうてこさんに別段用事があった訳じゃないんだ。
 追いかけるような真似をして悪かったね、じゃあ」

 見る限りは普通の女の子、それが余計に薄気味悪さを助長して、
服のした、全身に立つ鳥肌を抑えながら僕は捲し立てる様にそう言い捨て
うてこさんに背中を向けてその場を去ろうとした。
          ・・・ ・・・・・  
「うてこさん……? それは、私の事ですか……?」

 その向けた背中に、素朴な疑問を口にする様な響きの言葉が掛けられた。
まるで、自分の知らない所でつけられていたあだ名で初めて呼ばれた子供の様に。

「……そうだけど。昨日だって僕が君の事をそう呼んだときも確かに返事をしたじゃないか」

 その台詞の響きについ振り返り答えると、
――――少女はその言葉尻に被さる様に言葉を口にする。

「昨日?」

 咄嗟にでてしまったのだろう。
先程と同じ響きをした単語。
そしてハッとしてから、慌てたように。

「そ、そういえばそうでしたねっ」

 と、続けた。

「もしかしてさ、うてこさん。君、覚えてない? 昨日のこと」

 確認するように、ぶつ切りにした僕の台詞にうてこさんは。

「……っ」

 下唇を噛んで、深く、俯いた。

――――

 おい、やっと導入編が終わったぞ
 どうなってんだ
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はやく一週間終われよって事だよ言わせんな


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