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『ビニール傘 ペットボトル』

 傘が壊れた。
 いや、そりゃ確かに安物のビニール傘ではあるけれど、
買った当日も含めてまだ片手で数えるくらいしか使ってないのに。

 こうもあっさり根本から折れてしまうとは、春一番に対し感嘆すら沸く。
仕方なしに折れた傘を持って自宅に帰還しようと歩みを早めると、
霧雨の中の公園で金属の軋む音がする。
みれば強風の影響か、無人のブランコ二つ、ただ空虚に揺れていた。
私は霧雨に打たれながら、ブランコがその動きを止めるのを見届けてから
折れた傘をそこになにくれとなく立て掛けて。自宅に向けてその歩みを再開した。


 遅いよ、なにをしていたの? と、帰宅するなり妹に言われ。
次いで、傘を持って行ったのになんでそんな濡れてるの? と、問われた。
私は呆れる妹に、強風に傘をもってかれたと事実を若干歪曲させて伝えて
渡されたバスタオルの代わりに、わざわざ出無精の私が雨の中を外出した理由を妹に差し出す。

 宿題をしていたのかい?
早速差し出した袋からだしたペットボトル入りの炭酸飲料を
がぶがぶと水のように飲み干す妹に聞く。

 ……いや、遠慮しておこう、私は知っての通り文系でね。数字は苦手だよ。
自室の中心のテーブルに広がる算数ドリル、まだ数学と呼ばれる前の基礎勉学。
中国では暗算と言う言葉は暗殺と策略を掛けた意味合いになると言う無駄な知識を
ひけらかして妹をあしらい、自分の湿った髪を撫で付ける。跳ね上がった。

 頼む事を諦めた妹は机に向かい早々に頭を抱える。
私はそれに苦笑を浮かべ、手伝う代わりに気分転換をと話を始めた。
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