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うてこさんのお話

 前回が携帯からの手打ちで異常に短かったから
 それも改めて載せていきます
 午前五時、遠い空が少し白み始めたばかり。
深夜の冷たい尖った空気がゆっくりと太陽によって
柔らかい物に変化していく最中の、
涼やかさと暖かさの入り混じった雰囲気。
僕はそんな早朝の人並み少ない街並みをズボンのポケットに
手を突っ込みながら歩いていた。

 当然こんな時間だから開いてる店などコンビニ以外ではほとんどないが、
それでも店じまいをしたからといって看板までもしまう店などなく、
何件かスーパーや日用品を買うのに便利そうな小売店などを探して回っていた。
酔いのほうも、僕が狭い路地で少々古ぼけた雰囲気の
良い店を見つけた頃には随分と醒めた。
これで噂の如何についてもある程度なにか掴めたら言うことはないのだが……。

 なんて考えながら知らない路地を見かけて足を向けてみると、
噂をすれば影が差すという奴か。曲がった路地の奥に昨日僕が話しかけた少女が居た。
キョロキョロと辺りを見渡しながらゆっくりとした歩調で進むうてこさんが。

 “うてこさんを追いかけて見た奴は居るんだけどさ。
 曲がり角を曲がる度に一定以上の距離が空いて、
 絶対に見失うって話だぜ?”

 大して離れてない場所で歩いているうてこさん。
追いかけて肩をポンと叩く事くらい容易そうだが……、
とりあえず僕は友人の言葉を反芻しながら少女と同じくらいゆっくりとした
歩調で、彼女をつけてみることにした。

―――

 まだ冷たく、そして動きが少ない所為か湿気とよどみを感じる空気の中。
できるだけ足音を立てないように、
同じペースでうてこさんの後方を歩く僕。

 現時点で、既に二度路地を曲がっているが
急に距離が開いたりうてこさんが消失したり等の異常は見受けられない。
時計を見るとつけ始めてからそろそろ十分程経つ、
もう少し追跡してみてなにもなかったら
友人の話はデマだった、と決めて帰ろう。

 と思い。時計を見ていた目をうてこさんに戻したと同時。
ほんの五メートル程度しか離れていなかったはずのうてこさんの姿が視界から消えていた。

「……っ!」

 悪寒が背筋を走り、咄嗟に路地を駆ける。
走って、曲がり角は全部覗いてみて、
そしてそのすべてが行き止まりだった。

 ――どうやらほんの数秒、目を放した隙にうてこさんは完全に姿を消したようだった。
忽然と、最初から居なかったかのように。
まるで狐に抓まれ狸に化かされた気分だ、
人が、消えるなんて。

 もちろん、まだ目の前で消えていく様を見たわけじゃないので
焦った僕が見落とした小さな道があったとか、
もしくは僕が目を離してる隙に彼女が突然路地の塀を飛び越えたとか
そういった可能性は残されているけれど……。
とにかくどんな理由であれ、僕がうてこさんの追跡を始めてから丁度十分程で
彼女を見失ってしまった。というのは紛れもない現実、のようだ。

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