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遠いよ七音目

「きっ」

 後輩が擬音語を口にしながら俺を睨んで来た。
無論睨んでいると言っても少々タレ目気味な後輩の睨みは
ほとんどただ見つめているだけのような物で
怯む要素は欠片も存在しやしない。

「よ、元気か」
「……おでこが痛いです」

 先程廊下を一人歩いていたら壁に顔をやたら接近させて
集中している後輩を見つけその後頭部をいつもの様に叩いたのだが、
いつもより少々力が入ったのかつんのめって壁にぶつけた後輩は
いま紅くなった額を押さえて恨みがましく俺を睨んでいる。

「一々私を見かけるたびに頭を叩くの止めてください先輩。
 これで後姿が私に激似の他人だったらどうするんですか?」
「逃げる」
「どんな通り魔ですか……」

 呆れたように溜息をつく後輩。
けれど俺から言わせれば毎度何かに集中して無防備な背中を見せてるお前も悪い。

「で、今度は何を見てたんだ?」
「えっと、これです」

 後輩が指差したのは額をぶつけた壁の一箇所、
そこに描かれたよくある落書きだった。

「相合傘って、また古いな……」

 一筆書きで簡素に描かれた三角系の中心に棒を足した
誰でも知っているようなあの図形。
その線の左右に書かれた男女の物と思われる二つの名前。
二つの名前双方に聞き覚えがなく、また字の掠れ具合から
それなりに書かれてから時間が経ったものだと思われる。

「いつの卒業生か知りませんが、どんな気持ちでこれを書いたのかなって」
「軽い気持ちだと俺は思うけどな」
「想い気持ちだと私は思います」
「重いのか」
「いえ想いのです」
「そっか」
「はい」

 
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