スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

だから意味なんてないんだって

「……昔のお父さんがこんなんだなんて」

 カーテンを閉め切って電気もつけず。
唯一の光源はパソコンの画面で、
そこから仄かに照らされる室内は雑多に散らかり
実際よりもずっと狭く小さなスペースに見える。

「なによ、これ」

 そんな自分の部屋。
ここ数ヶ月に置ける僕の世界と言える
その薄汚れた空間に、僕の物ではない声が響いた。
幼さが残りながらも大人びた印象を受ける、少女の声。

「これが、ここが本当にお父さんの部屋なの……?」

 ほとんど中身の入っていない、
もうずっと開けた覚えの無い洋服ダンスの扉が開き。
そこから見たことの無い少女が身を乗り出していた。

「君は誰だ?」

 あまりの事態に驚愕する事も忘れ、
ただただ呆然とした僕はそう言おうとして。
しかし他人と喋ること久しい僕の口から出たのはただの擦れた音。
けれど意図は伝わったのか、少女は部屋を汚らわしそうに見ていた目をこちらに向けて。

「私はあなたの娘よ」

 そういった。

 少女はそんな一種狂言とも冗談とも取れる言葉を発し、
まるでこの部屋の床がゲームで赤いフラッシュと共に
ヒットポイントを4位削る紫色の沼であるかのような逡巡と躊躇をしながら
時間をかけてタンスから降りて床に足を付けた。
当然、この部屋の床に地形ダメージは存在せず、
床に足を付けたところでなんら変化が起こりえる筈など無いのだけれど。
それでも少女は顔を顰め、犬の糞を踏んだ小学生のような表情を浮かべた。
まるで、この目の前の現実を認めたくなくてしょうがないと言わんばかりに。

「あなた、名前は?」

 そんな少女の失礼も通り越しいっそ暴力的なまでの侮辱行為すらも
ただただ呆然と漠然と眺めていた僕に少女は溜息と共にそんな質問をした。
質問、というより。それは僕には答えあわせのように感じた、
自分の持つ答えと食い違っていることを期待した、答えあわせのように。

「あ……、え……」

 この異常な状況で聞かれた極普通の質問に
僕は咄嗟に素直に答えようとし、やはり声はでなかった。

「なに? 失語症かなにかなのあなた?」

 二度三度発声練習を行い、
なんとか喋れるようになった所で僕は先刻の質問に答える。
つまりは自分の本名を彼女に向かって口にした訳だけれど。
考えてみればタンスからでてきた初対面の女の子に
名前を素直に言ってしまってよかったのだろうかとも思う。
思ったところで、どうにもならないのだけれど。

「やっぱり、そうなんだ……」

 答えを聞いて少女はあからさまに落胆する。
意気消沈というか、どこか失望したかのように、
額に手を当てて嘆息を吐きがっくしと肩を落として。

「君は、誰?」

 僕は声を取り戻した所で、
改めてもう一度少女に問いをかける。
先程彼女が口にした発言の真意を問う、という意味も含めて。

―――

 超々局地的な地震が起きろ
スポンサーサイト

Comment

No title

続きが気になります。

うてこさんもお願いしますマジで


 編集・削除ができます。
 管理者にだけ表示を許可する
 
 

カレンダー

 
06 | 2017/03 | 07
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
 

アナログ時計(黒)

 
 

呟き

 

7shiicilou < > Reload

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。