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『追われる』 パターン3


 周囲の視線が痛い。
当然だ、今の俺はぶっちゃけ変人だ。
親が子供に「しっ! みちゃいけません!」とか
定番のアレをやりかねない程に変人だ。

 実際、特定の人物をこそこそと
看板とか植木とかに隠れながら監視していたら
ストーカー確定のヤバイ人間だろう。
それはわかる、すっげえわかる。
……でも、でも違うんだ。
俺は追っていないんだ、むしろ追われてるんだ。

 俺がずっと監視しているその人物の方こそが
ストーカーと呼ばれる存在だ、被害者が自分なんだからこれ確実。
絶対そうだ。でもこういうのは警察は動かない、
不法侵入とか他の罪の証拠無いと無理。
だからこうして自分で犯人を監視してるわけだ、
ヤバイ、俺天才。

「あれ? 見失っちゃったかな?」

 ストーカーをストーカーするために
わざと街中をふらふらして
明らかに誰かがつけてくるようだったら身を隠して
逆ストーカーという俺の戦法に相手は見事に嵌まったようで
先刻までのんべんだらりと意味不明に歩いていた俺を見失ったストーカーは
キョロキョロとあちこちを見渡していた。

「あいつか……」

 いや、うん。
本当はさっきアイツがそうだ見たいに言ったし
確実そうだみたいなニュアンスをさせたけど
実はまだ相手がどんな奴なのかは知らなかったりした。
でも多分あのキョロキョロしてるのだろうとわかったし、
オッケーオッケー。
つーかあの可愛い女の子が俺のストーカーさんですか?
むしろ俺から告白していいッスか?

「あっれー? さっきまでクロスメディアに居たのに、
 先輩どこに行ったんだろ?」

 ――違った。
全然オッケーじゃなかった、
やっべえ、危うく赤の他人に「てめぇ俺のストーカーだな? 好きです」とか
電波な事を言い出すところだった、
しかもその後あの子の先輩とか言う連れに殺されるエンドだ。

「ふぅ……」

 俺は額の汗を拭いながら
先程の女の子が口にしていたクロスメディアという
喫茶店の大きな看板に隠れながらため息をつく。
看板の白熱灯が熱くて余計に汗を掻いてしまう。

「これ使ってください」
「あ、どうもありがとうございます」

 不意に後ろからハンカチを差し出された、
いやぁストーカーする奴が居ると思えば
親切な人も中には居る者だ。素晴らしい。
……しかし、ストーカー行為がこんなに緊張するものだとは思わなかった、
なにせストーカーする相手が定まっていないストーカー行為だからな。
緊張レベルがダンチだ。

 俺は気を取り直して周囲に気を配る、
左右上下、しっかりを見張りながら
俺をストーカーしていた野朗、もしくは少女(希望)を探す。

「居ないなぁ……」

 けれどいつまで経ってもストーカーは姿を現さない、
もしかしたら諦めて帰ったのかも知れないので
残念ながら今日の調査はこれまでにしようと
俺は立ち上がりズボンに付いた埃をパンパンと払って家に帰った。

―――

 翌日、新聞を取ろうとポストを空けたら
一枚の写真が入っていた。
その写真には俺がクロスメディアの看板に隠れている
後姿がしっかりと納められていた。

「なっ! い、いつのまに撮られたんだ!?
 っていうか、やっぱりストーカーはあの雑踏に紛れていたのか……」

 俺はその宣戦布告とも取れる写真を握り締め、
まだ見ぬストーカーに対する闘争心を燃やしていた。
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Comment

No title

2は青春っぽくて好きだなー
間違って死にたくなるじゃないかw

3はバカっぽくて何も考えずに読むには良いかもねw

1は俺の趣味には合わないからノーコメントでww


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