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色彩のお題 その5


5.白


5.白

 もう十になる娘は私よりもずっと君に懐いていて
僕と君がなんらかの理由で対立した際には
絶対に君の方についてしまった。

 実の所僕はあれに少し傷ついていたりしたけど、
それ以上にまるで親友みたいに親しげな君と娘を見ていて
なんとも微笑ましい気持ちになっていた。

 と同時に、娘の宿題に一緒になって
本気で頭を悩ませてる君を本気で心配した覚えもある。
君は昔から勉強が苦手だったから、
僕は度々そうやって大小揃ったそっくりさん達に
懇切丁寧に勉強を教えてあげていた。

 二人してうんうんと頷く様に、
親子だなと感心する一方、やっぱり君に対して
心配というか不安になっていた。
それでどうしてわからないの?
と聞いたら君は「忘れちゃったんだから仕方ないでしょ」って
逆に僕を怒ったよね。あれは意味がわからなかったよ。

 あぁ、でもそうだ。
一度だけ娘が君ではなく僕の方についた時があった。
確か去年の冬、ありえない程に僕達の街に雪が降った次の日だった。
一面が雪で染まった庭に仁王立ちして
君が雪合戦をしようと提案した時に娘は
ママが強すぎるからパパと一緒にやると
ややショックな理由で僕と一緒のチームになったんだった。

 君はそれに対して拗ねたのかなんなのか、
僕に対してばかり雪玉を投げるという行為にでてくれた。
しかも明らかな反則である石を詰めた雪玉をだ。
正直あれはどうかと僕は思う。
少なくとも頭にヒットしたとき、僕は少なからず涙がでた。
娘には雪が溶けたんだとか言ったけれど、
本気で痛かった。本気で。

 まぁその後僕もお返しとして
雪ではなく外の蛇口にホースを繋いで放水で
報復したからお相子ということにしておく。



 ページを開く。
もう写真は無い。
このアルバムの残りのページは全て真っ白だ。
多分、これから埋まって行くのだろうと思う。
君と、僕と、娘の写真で、少しずつ空白の部分は思い出に変わっていくんだと思う。

「お父さん。お母さんが呼んでるよー?」
「ん、わかった。今行くよ」

 パタンと分厚く硬いアルバムを閉じる音が響く。
思い出は、思い出。
過去のこと。

「アルバム見てたの?」
「うん。ずいぶん増えたからね、整理も兼ねて振り返ってた」
「あとで私も見て良い?」
「いいよ、君の写真も沢山あるから」

 言いながら立ち上がり、娘の頭を撫でながら
僕は君の元に歩いていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。
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