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 近頃雨が多い。
時にはか細く、時には激しく。
音を立てながら、気づかない程に静かに、
凍える程に冷たい、心地好い程に温い。
そんな、雨。

 私は雨が好きだ。
雑踏の中を歩いていても、
自分の傘の内側だけに雨は降らず
まるで隔絶された空間のように感じられる。

 足音は消され、ビニールの傘を見上げれば
たくさんの雨粒が小さく大きく張り付いては流れていく。

 今日、そんな中を一人散歩をしていたら
近所に茂る草木の中に心惹かれる物を見つけた。


 蜘蛛の巣だ。
主人たる蜘蛛は雨粒に耐えられないと逃げたのか不在で、
ただただ白く細い蜘蛛の糸が幾重にもくさっぱに巡らされていた。

 そしてその糸と糸が重なる場所に溜まる、大小それぞれの雨粒。
雲越しの太陽の光を浴びてそれはキラキラと輝いていた。
雨粒は真珠のように、飾り立てる糸はまるで上質な絹のように、
そしてそれらを支える青々しい葉はどこまでも精錬で、
全てが揃ったその光景は芸術と言ってなんら過言ではなかった。

 私が指先でひょいと触れれば
即座に水滴は地に流れ、蜘蛛の巣は千切れてしまうだろう
あまりにも儚すぎる一瞬の芸術。
一度私はそれを写真におさめようとして、
しばしの逡巡の後それを諦めた。

 如何ほどの技術を持つ技師でも、
光景はともかく私の感情を含めたこの芸術は真に撮れはしまい。
美しいものは、儚く消えてこそ美しいのだろうから、
消えないフィルム越しのそれは、きっと別物だろうから。

 私はその光景を幾許か眺め続け、
変わらずにサァサァと続いている雨音の中を
足取り軽く歩き出した。


 ――私は、雨が好きなのだ。


―――

 近頃続く雨に昔詠んだ短歌を思い出して文章化してみた
 雨の日は憂鬱だなんて、誰が決めた事でしょうか

 その日その日の楽しみは、確実にそこにある筈です
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Comment

No title

しとしとでも無くザァザァでもない飴っていいよねー
やること忘れて眺めていたい気分になるよ
こればかりは写真で表現できないものだしね
本当にこういう文章すきだわw

No title

良い雰囲気だなあ


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