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気のせい?


 私の日課は庭に生えている大きな樹の元での読書だ。
一本しか存在しないのでハンモックなど優雅な物はないけれど
しかし木陰の下でのんびりと樹にもたれながら本を読むのは
なにやら非常に心地よい、尊い時間だと私は思っている。

「今日はなにを読んでいらっしゃるんですか?」

 その日も私はいつもどおり樹に持たれ、
ペットボトルのお茶を横に置いて軽い読書を嗜んで居たのだが。
不意に、後ろから聞きなれぬ声がチラと聞こえた。
涼やかな女性の声、夏の風に揺れる風鈴のような
繊細で凛とした若い女性の声だった。

「……」

 ここは公園と違い、あくまで私の家、その庭である。
そこで聞きなれぬ声が聞こえたとあれば
いくら美しい声の女性だろうとまずは警戒してしかるべきだろうと、
慌ててさっと後ろを振り返ってみたのだが。

 当然視界に入るのは私が寄りかかっていた樹の幹だけだった。
もしかすると気のせいだったのかも知れない、空耳という奴だ。

「あ、そうですそうです。きのせいなんです」
「……これはずいぶんと自己主張の強い気のせいもあったものだ」

 気を取り直して閉じた本を開き、
先刻はどのページまで読んだのだったかと一枚一枚捲っていると
再度女性の声が私の後方から鮮明にしっかりと聞こえてきた。
当然振り向いてみるも見えるのは樹の幹のみ。
思えば以前からもこの場で読書をしていると
何者かの視線や気配を感じることはあった。
さらには本日のこの姿無き声、
もしや私は霊にでも憑かれているのかも知れぬ。

「霊じゃないですよ。私はきのせいです」

 声はもはや気のせいではすまない程にはっきりと聞こえている上、
なにやら会話まで成立してしまっているのだが。
その女性のものと思わしき声は自身が気のせいであることを強調してくる、
イントネーションが少々ずれてしまっているほどに。

 私はしばしその声にどう対応するべきか考え、
しかし別段害があるわけでもないし対策も浮かばなかったので
黙って本の続きを読み始めた。

「あぁその本ですか。よく読んでますけど好きなんですか?」
「……何故私がこれを度々読んでいることを知っているんでしょう」

 とうとう独り言と言訳の聞かない
気のせいに対する問いかけをしてしまった。
それに対して気のせいは嬉しそうに返事を返してくる。

「いつもあなたのことを見てましたから」

 ストーカーだった。
ふむ、この場合霊とどっちが悪質だろうか。

「ですからストーカーでも霊でもなく樹の精です」
「流石に会話をこなしているにも関わらず気のせいでは済ませられませんよ。
 そもそも気のせいの声が気のせいと言うって意味がわかりませんし、
 夢の中の住人がこれは夢ですと言う事並みに異常です」
「そうではなくてですねぇ……」
「……で」

 パタンと読みかけの本を閉じてわきに置く。

「あなたは何がしたいんですか?」

 さぁと風が吹いて芝と私の髪を撫でる。

「お話を、しましょう」

 木漏れ日が私の目に入って視界が白く染まる。

「では、そのように」

 その一瞬だけ、沢山の葉に囲まれる緑色の少女が見えた気がした。




 私の、読書という日課はその日から無くなった。


―――

 気のせいと樹の精をかけたかっただけ
相当無茶苦茶です、今度推敲してちゃんとした話にできたらと思うけど多分やらない
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Comment

わらたww
しかもちょっと良いはなしじゃねぇかww


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