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『冠雪』

 冠雪をお題に書くというより
 冠雪で浮かんだ物を書いた


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 私の街にはよく雪が降ります。
きっと、この国で冬季に一番雪が降る量の多い街だと思います。
毎年のように街一つを覆う冠雪がメートル単位で観測されてしまうのです。

「降雪量が多いって言えよ」
「こうせつりょう?」
「……やっぱりいいや」

 えっと……。
そのため私の街は――

「私達の街な。お前の所有物じゃないぞ」

 ――私達の街は、雪というか、氷というか、
冬季のそういったイベントとかハプニングには事欠きません。
去年なんかは五日間も豪雪が続いて
私の家は二階の窓辺りまで雪が積もってしまいました。

「俺の家は丸々埋まったぞ。ざまぁみろ」
「丁度私の家に遊びにきててよかったよね、
 もし埋められてたら一週間はでられなかったし」
「雪解けも当然おっせぇからなぁ」

 でもその代わりにかまくらとか氷像とかが
よく街広場で沢山作られて居てですね。
この時期になると観光の人達も多く来られます。

「全員一回はすっころんでるよな。骨折って帰れよホント」
「また君はそういう事言う……」

 友達は、まぁそんな感じに観光客が沢山来ることを
よく思ってはいないみたいなんですけど、
私は好きです。
夜ライトアップされる氷像はキラキラとして凄く綺麗。
まるで――

「宝石のようってのは月並みだからな」
「……」
「睨むなよ」

 まるで氷像が幻なんじゃないかと思えるほどに綺麗なんです。

「曖昧に逃げたな」
「うるさいなーもー」

 ずっとそこにある像じゃなくて、
すぐに消えてしまう氷の儚さがそうさせるのかも知れませんが、
でも、光を乱反射させながら佇む氷像は、素敵。

「子供の頃の話なんだけどさ」
「うん?」
「氷は、まぁ無色で向こうが透き通ってるだろう?」
「そうだねぇ」
「でも、ガラスみたいに平面じゃないから当然見える向こう側は
 像の表面に沿って歪んで捩れて撓んで見えるんだ」
「……うん」
「だから俺は氷像の表面はもしかしたら別の世界に繋がってるんだって思ってた」
「可愛いね」
「……まぁ、いいんだけどさ。それだけだよ」

 かまくらも、やっぱり好きです。
冷たい雪を集めて暖かい空間を作るっていう発想が、素敵。

「素敵っつーか、不敵って感じだよな考え方が」
「捻くれてるよ」
「そうかい」

 分厚い雪の壁をまあるく積んで、
その中に蝋燭を並べて明かりを灯して
みんな壁越しに座ってきりたんぽなんか食べたりする。
その情景は私達の街みたいな雪の降る量の多い街でしかみれない。
だから、私は私達の街が好きです。

「……」
「なに?」
「いや、よくこの状況でそんなことがいえるよなってだけだ。
 つーか話題変えようぜ? 確かにかまくらはあったけぇけど
 かまくらよりもよほど大量の雪に包まれてるここは冷凍庫よりさみぃぞ」
「まぁ……、確かにいくら防寒着を着こんで布団を被っても寒いものは寒いよね」

 なので神様。
私はせめてもう一度あの綺麗な氷像が、素敵なかまくらが見たいです。

「今年は、お祭りみれないのかなぁ?」
「そこは俺にもわかんねぇな。あと三日もこの状況が続いたらまずいんじゃね?」
「家、持つかなぁ?」
「わかんねぇ。確か雪って一立方メートルで一トンとか重量あった気がするけど」
「もしかしたら私達の頭上で誰かが歩いてるかな?」
「かもな、まぁ気づいてくれるとは思えんが」

 ぎしぎしと軋む音。
今年の冠雪は何メートル?
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