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女「酷く機械的な街だ」

没作品02 実際にはUSBも没だから03でござるの巻 の続きで名前を変更しました
内容的には私は銃声と共にあるのスピンオフ
ただスピンオフしてるキャラがまだ本編にでてきてないという馬鹿状況
両方進めて行ったら楽しいかな見たいな感じで
 この街の店というのは、
察しの通り人間がやってはいない。
基本的に全てが全て機械がやっている。
私みたいな外の人間にしてみればそれは自動販売機と何が違う?
といった疑問というかそんな懸念を抱くのだけれど。
ここではそれが当たり前なのだ。
人間が商売をすれば、どこかで不備が出るし齟齬が起きる。
儲けよう、裏を掻こう、足元を見よう、値切ろう。
そんな人間同士のやりとりはここでは成立しない。
全てが定価販売だ。

「つまらないな」

 独り言。
私はこんなに無機質で無感情な場所で一月も過ごさなくてはいけないのか。
気が滅入って仕方がない。

―――

「いらっしゃいませ」

 人の肉声にしか聞こえない機械の合成音、
それに出迎えられ私は一つの店に足を踏み入れた。
店内には数人の人間が歩いては自身が無言で必要な物が置いてある棚の
スリットに自分のカードを読み込ませている。

 買い物。
それは一々品物を手にとってレジに持っていき
精算して持って帰るという従来の方式ではなく、
それぞれの品物に置かれている機械にカードをスキャンさせて
口座から金を払って終わり。
品物は当日中に家に運ばれてくる。
こうなると自販機というか品物を直接見れる通販みたいなものだ。
一つの物でもそれぞれの個性があり、手にとり吟味するなんて光景はここでは見れない。

 ショッピングに、もはや娯楽性などほとんどない。

 私は部屋に置く家具を適当に幾つか購入する。
といってもやった動作はカードをスキャンさせただけ、
まったく買い物をしたという感じはしない。

「……これくらいでいいか。
 手元にないから買いすぎて、結果家に入らないという可能性もあるし」

 大量の買い物を終えて、
しかし手ぶらで街中をキョロキョロと見渡しながら帰る。
と言っても来た道を辿る訳ではなく、
できるだけ別の道を選んでゆっくりと。

 カードの機能の一つに街の地図というものもある。
薄い筐体の側面に細かな地図が浮かび上がって
現在地から目的地までのナビゲートをしてくれるのだが、
物が便利になると人間は知識や知恵を次々と忘却していく。
電卓があれば人間は暗算を止め、
ナビがあれば道を覚えようとしなくなる。
私はそういった物が嫌いなのだ、
人間が機械にゆっくりと侵食されている気がして。

 とりあえず短期間とはいえ自身の住居となる場所周辺を
ある程度歩き回った後、私は家に戻った。
見れば家の前には既に先程私がカードで購入した物品が揃って並んでいた。
まだ30分位しか経っていない筈なのだが、
流石に跳ね上がった科学の下ではこの程度の荷物を運ぶことなど造作もないらしい。

 けれど、当然ながら人間である私はそうではないので
玄関前にこう堆く置かれたところで一体どうやって部屋に運べば良いのか悩む。

「おかえり、逆撫」

 カードで施錠を解いて広い空間に戻った途端、
聞き慣れぬ声が出迎えの文言を寄越した。

 咄嗟に後ろに手を回して、
けれど効きなれないながらも聞き覚えはあるということに気がつき
銃を手に取る前に警戒態勢を解いて
柔和な笑みを形作ったままこちらを見る男に声をかける。

「……何用だ焼鏝。勝手にあがるとは礼儀がなってないな」
「あはは、そう言わないで欲しいな」

 肩を竦めて軽く笑う男。
といっても声と同様中性的なイメージの男で、
優男というかなんというか――線が細い印象を受ける感じだ。
だが決して顔立ちが良いというわけではない。

「それに、僕だってしたくて不法侵入した訳じゃないよ」
「嘘だな」
「まぁね」

 会話を交わしながら、
私は壁と一体化してる冷蔵庫からお茶を取り出す。
透明で、緑がかった液体は私の喉を通り微妙な後味が残る。

「で、なんの用だと聞いているんだ」
「ん~。別段僕自身は君に用事はないんだけれどね、
 ちょっとしたお使いみたいな物だよ。石手さんからの」
「――朝見から、か」

 私はもう一口茶を飲み、
背中から銃を取り出してテーブルに置く。
特に意味はないが、まぁ銃を持ったまま話すというのも無礼な話。
目の前の男に関しては、……心配する必要はないだろう。
焼鏝量産という男は、私や石手と違い“普通科”だ。

 私は“あなたを信用してますよ”みたいなポーズをとりつつ、
一見リラックスしてる様にしか見えない体勢で話を続ける。
普通科の人間は私みたいな戦闘特殊や石手みたいな技術特殊に入りたくて
しかし実力不足で入れなかった半端者が集まってる科だ。
だから基本的に他科の“生徒”に対して敵愾心を持つものが多い。

「で、朝見がなんだって?」
「いやね、あなたのカードから余計な機能を外したのって技術特殊科の石手さんじゃないですか」
「それで?」
「中身をちょいちょい弄った痕跡が残ってるから、
 外で銃とか見せて中の警備とかにカード確認されたら終わるから行動に気をつけることってのが一つ」
「はいはい」
「あと、衛星リンクは外したけれど幾つかの建物に入る為の市民レベルは書き換えられなかったから
 作戦決行の際の侵入は自分でやり方を模索してくれって」
「一番必要な所ができませんって、なにが博士だ技術科第九位だ」
「ですから、《電子遊戯》に頼めばと言ったんです。
 技術科第一位の彼ならその辺もできたかも知れませんのに」
「……朝見が渋ったからな。あいつに頼むってんなら縁を切るって。
 意地になられて現場に支障だされちゃこっちから縁切るっての」
「まぁまぁ」 


 “学校”というのは文字通りの意味だ。
私達みたいな“生徒”が“先生”に物事を教えてもらい、学ぶ場所。
ただ、この世界には“学校”と言っても二通りある。
それは従来の座学に徹し、生きてく上で必要な知識や知能を付ける
所謂普通の国語算数理科社会といった勉強をする場所。と、もう一つ。

 “戦術学統合研究学校”と呼ばれる、
戦闘に関連する事を重点的に中心的に徹底的に学び鍛える場所。

 私や目の前の焼鏝、そして会話にでてきた石手朝見の三人は、
当然ながら後者に籍を置く“生徒”である。
特に数多有る“戦術学統合研究学校”の中でも、
最高最上最強の誉れを受ける“十教大学”の“生徒”である。


 『座学五条』

 戸惑ってはいけない。
 動揺してはいけない。
 怠慢させてはいけない。
 努力せねばいけない。
 そして、学ばなくてはいけない。

 『実技五項』

 躊躇ってはならない。
 油断してはならない。
 生存させてはならない。
 武装せねばならない。
 そして、戦わなくてはならない。

 五つと五つ、合わせて十の教えの元に行動を為す。
それが十教大学。

 そして先程同じく会話にでた科、――私なら“戦闘特殊科”だが――についてだが。
それは十教大学内にあるそれぞれの“専科”の事だ、
“普通科” “作戦科” “戦闘特殊科” “技術特殊科” “普通特殊科”
以上五つの専科が十教大学には存在する。
石手はその中の“技術特殊科”、焼鏝は“普通科”に所属している。
それぞれの科の特色などは、まぁ名前でわかるだろうと思う。

 つまり仕事というのは、
他所から母校に、そして教師を伝わって私達に課せられた。
依頼兼課題のようなものなのだ。

「はぁ……。まぁいい、それで? 伝令は終了か?
 それならもう帰れよ焼鏝」
「いやはや、ずいぶんと冷たいですね逆撫さんは。
 わざわざ検問受けて全身を殺菌液に浸されて、
 血を抜かれて検査されてようやくこの都市に入って来たんですよ?」
「私も一昨日やったよ。まさかこの年になってあんなことをされるとは思わなかった」

 嫌な事を思い起こさせてくれるこの男。
私はあからさまに顔を顰めて、追い払うように手を動かす。

「ちょ、ちょっと待って下さいよ。
 冷たい以前にそもそもまだ役割終えてませんから僕」
「なら早くしてくれ。今度はなんだ? なんの機能を取り損ねたんだ?」
「そうではなくて……」

 彼は苦笑いをしつつ足元に置いてあったバッグを机の上に置く。
ゴン、と硬く重い物がぶつかる音がした。

「銃ならいらんぞ、持ち歩けば二秒で警備ロボに摘発される」
「あはは、その心配は要りませんよ。
 石手さんが探査妨害のジャミングを放つ小型機械をつけたとか言ってました」
「……ほう、やるじゃないか朝見も」
「ただ、この街のあのカードあるじゃないですか。あれに近づけすぎるとぶっ壊れるって言ってましたよ」
「…………役立たずだなあの第九位は」

 嘆息を付きつつバッグのファスナーを開き中を確認する、
中身は二丁の銃とその弾薬、あとはホルダーとかその辺だ。
どうせなら暇つぶしになりそうなものも差し入れて欲しかったのだが……。

「“ルトキー十型”と“ヘンリル二十五型”か……」
「ですね。先輩の個人武器は流石にジャミングどうこう以前に、
 隠すこと自体が不可能な造型ですから。せめてと思いまして」
「せめてと思うなら最新式持って来い。
 なんで十型と二十五型なんだよ? 二十五型なんか二世代前だぞ」

 私は二丁の銃を取り出し手に取ってから不平を唱える。

 このヘンリルとルトキーというのは、
十教大学校内にある工房で生産される銃だ。
ヘンリルはリボルバー型、ルトキーはべレッタやグロックの流れを汲む形式。
ともに校内の生徒しか手にできない限定品なのだが、あくまでも量産品。
特殊科の生徒はそれぞれ個人個人で専用の武器を持っているので、
基本的には普通科の生徒用となる汎用性の高い
良くも悪くも“普通の銃”なのだ。
他にも似たシリーズだとインドレという型がある、
これはデリンジャー式。

「でもま、この“ケセラセラ”よりは使えますよね?
 最終的に侵入して作戦を完遂できたとしても、
 脱出に“ケセラセラ”では流石に逆撫さんでも難しいかと」
「……まぁな」

 ついでに“ケセラセラ”というのも銃の名称だ。
冒頭で私が手に取り、現在はテーブルに他の二丁同様に並べられている銃。
こうして並ぶとやはりずば抜けてちゃちな作りをしている、
子供が手にしていてもなんの不和も感じない玩具のようだ。
焼鏝も、同じような感想を持ったのかそれを手にとって掲げる。

「しかし、本当に銃って感じがしない銃ですよね」
「そうだな。正直少し力を入れれば壊れるんじゃないかと思うよ。
 流石に“学校”じゃこういった銃は作ってないな」
「ですね。インドレは若干似た感じもありますけど、あれは真鍮ですしね」
「小さくて軽いが、安っぽさはないよアレに」
「でも殺傷力で言ったらどっこいどっこいじゃありません?
 弾を込めるのも手間かかりますし」
「まぁその辺はいいさ、きっちり用を足してくれるならな」
「ですですね。まぁ僕はこれでお役御免ということで、
 逆撫さんの要望通り帰路に着かせていただきます」
「そうしろ、お勤めご苦労だった」

 本当にクールなんですから、と微苦笑を浮かべる焼鏝。
私は黙ってテーブルに付属している椅子に腰を下ろして、
その場で焼鏝を見送った。

 しばし間が空いて、
扉が開閉する小さな音と圧縮空気の漏れる音がした。

「ふぅ……、ようやっと居なくなったか。
 朝見ももう少しマシな使いを遣せというに」

 愚痴を零し、放置していた茶に再度口をつけた所で。

「あの、そういえば」

 再度開閉音と空気音がして、
居なくなったはずの焼鏝の声が聞こえる。
私は舌打ちし、茶を乱暴に置く。

「今度はなんだ!?」
「いや、玄関前の荷物、中に入れるの手伝いましょうか?」
「あっ――」




 
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