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キョン「……そうだ、カルボナーラを作ろう」

「暇だな……」

 俺は一人壁に向かって呟く。
こなたは今日も仕事で本部に向かってるし、
柊と長門、そしてあやのは日下部や岩崎と共にショッピングに行っている。
俺も誘われないではなかったが、
女性ばっかりの中に一人飛び込むのも気が引けたし
たまには一人でゆっくりするのもよかろうと思って辞退して
自宅待機をすることにしたのだが。

「暇だ……」

 普段学校は当然のこと、
職場でも家でも大勢と同じ時間を過ごしてる反動か
一人になるや否や暇で暇で仕方がなかったのだ。
ゲームをすると言う気分でもないし、
家事はあいつらが居なければあっという間に終わってしまう。
勉強やなんだってのはあんましたくないし宿題もない、
こんなことならついていけばよかったかなぁと思っていると
不意に自分の空腹感に気がついた。

「……そうだ、カルボナーラを作ろう」

 なんとなく、そう思った。
 思い立ったが吉日。
普段から大人数相手に料理をしている上、
普通の家庭よりでかいサイズの我が家の冷蔵庫には色んな食材が入っている。
それでも念のためと部屋からでて冷蔵庫を覗いてみれば、
きっちり卵もベーコンも生クリームもパルメザンチーズもある。

「こりゃ買い物行く必要もないな。
 ささっと作っちまうか、ちっとばかし遅い昼飯だな」

 早速食器棚の引き出しからパスタを取り出してシンクに置く。
次いで先程述べた食材や調味料など必要な物を並べていく、
当たり前だがこの時間ももったいないので先に中位サイズの鍋に水を張って
蓋をして既に火にかけてある。
よくそのまま沸騰するのを見かけるが、
蓋をしてるほうが当然沸騰するのが早いのでガスの節約になる。

「よし、準備は完了っと」

 材料や道具を揃え終わり、即座に調理に入る。
お湯がまだ湧いてないのを確認して、
ボウルに卵と生クリームを入れてよく混ぜる。
白身を入れると固まってしまうので入れるのは卵黄だけだ、
ソースに必要なのはコクだからな。

 手早く混ぜて攪拌させた後
それに牛乳と塩、粉チーズを目分量で入れる。
場合によっては黒胡椒も入れるのだが、
カルボナーラは“炭焼き職人”という意味で
個人的には最後の出来上がりに振り掛ける方が好きだ。
職人に振りかかった炭、っていう感じでる。

「っと、湯が沸いたか」

 などとソース作りをしている内に鍋はぐつぐつと音を立て始める。
俺は蓋をとって湯の中に塩を適当に投げ入れてから、
乾麺パスタをサッと入れる。
この鍋の縁を滑るように広げる事ができるまで結構かかった。

 本来はパスタは一般的なスパゲッティではなく、
幅の広いフェットチーネを、ベーコンもパンチェッタという
塩味の強い生ベーコンを使うのだが。
なにも俺一人の昼食のためにわざわざそんな本格的な物を使うのもあれだし
流石にいくらなんでもそんな専門的な食材は冷蔵庫にはない。
使用用途が限定されすぎるしな。

「えぇっと、湯で時間は10分っと」

 キッチンタイマーをセットして次の仕度。
既に沸騰した鍋は少し火力の弱い方のコンロに移して再度中火程度の火にかけ、
あいた場所にフライパンを置いて強火にする。
そしてある程度フライパンが熱せられたらオリーブオイルを少量垂らして
フライパンの全体に広く伸ばす、と同時にキッチンにいい香りが広がってくる。

「こりゃこなた達がいたら速行で飛びついてくんだろうな……」

 情景が一瞬で浮かび苦笑を湛えながら、
俺はフライパンに刻んだベーコンを放り込み菜箸で軽く炒める。
オリーブオイルの香りにベーコンの焼ける匂いが混ざり食欲をこれでもかと促進させる。

 あとは簡単だ。
茹で上がったゲッティさんをボウルに移し、
冷める前に熱々のゲッティにソースを手早く和える。
直接火にかけるとやはりソースはぼそぼそになってしまうからな。

「あとは適当な皿に移し変えて、
 挽きたて黒胡椒をたっぷりかけてからベーコンを上にトッピングってな」

 ベーコンの薫香とオリーブオイル、
そして黒胡椒の香りに腹が痛いほど空腹を訴えってくる。
そんなに急かさなくても勿論すぐ食べますとのことよ。

「いただきますっと」

 料理に使用した道具を洗うのは後回し。
出来立てのカルボナーラを食べて胃を宥めるのが先決と
俺は手にしていた得物を菜箸からフォークへと変更させて
早速パクリと一口。

「うまっ! すげぇうまっ!」

 我が意を得たりと言わんばかりに
その一言を最後に黙々と食べ進める俺。
茹でたスパゲッティの量は200g近くあったのだが、
それもあっという間に俺の胃に納まった。


「ふう、ごちそうさん」

 誰に気を使うでもない昼食は、
調理時間の半分にも満たないうちに完食とあいなり。
達成感というか満足感というか充足感というか、
そんな物に満たされながら俺はしばらく椅子に座って食休みをしていた。
親が死んでも食休みってな。

「ただいま~、ってなにこの美味そうな匂い!?」
「げっ」

 などとやっているとタイミング悪く柊の帰宅の声がした。
そしてどたどたと荒い足音がしてすぐに居間の扉が開いて
柊がひょっこりと顔をだす。その手には紙袋が二つ。

「カルボナーラ!」

 顔を出して早々いきなり料理名を当てる柊。
お前、いつからそんなキャラになったよ……?

「ちょっとちょっとちょっと! なに一人で優雅に昼食とっちゃてんのよ!?」

 俺が飯食っちゃいかんのか?

「私達だけ外食するのも悪いと思って早めに切り上げてきたってのに
 ま~さか一人でずいぶんと手の込んだ料理してたみたいじゃない」
「……別にいいじゃねぇか、たまには」
「私も食べたい!」

 正直な奴だった。
まぁ作るのはいいんだが、スパゲッティとベーコンはもうないぞ?

「あやのも食べたいってさ、ね?」
「え? えぇ~……と」
「ほら見なさい! あやのも食べたいって!」
「言ってねぇだろ……」

 呆れた声をだしながら俺はこれではまともに食休みなどできないと判断して
さっさと立ち上がり食器を流しに置く。
つーか、普段は俺のことなどお構い無しに外食してるくせに、
今日に限って食ってこないとはどういう了見だ、予知でもしたのか?

「いや、日下部が――」
「私が外食よりもキョンの料理が食いてぇって言った!」
「この野郎!」

 みたいなやりとりを数回交わした後。
柊が自分が買い物行ってくるから、
と珍しく拝み手までして頼んできたので了承。
全員がゲームをしてる声を背中に受けながら調理に使った道具を全部洗い、
冷蔵庫にある食材を使って先にソースを作っておく。

「まったく……」

 渋々承諾したみたいな感じを作りはしたものの、
実は内心既に「仕方ないなぁ」みたいな。
子供の我侭に付き合う親みたいな感じになっている。
確かに一人で作って食べるのも気軽で且つ自由にできるのでいいのだが、
それでもやっぱり――。

 やっぱり、料理を作って、
そして食べた人達が喜んでる姿がないと、
どこか物足りなく感じてしまうのだ。

「ただいまー! 超特急でスパゲッティとベーコンを買ってきたわよっ!」
「おうっ!」


 カルボナーラの作り方、終わり。
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