「先輩。いつから煙草を?」

 慣れた手つきで銜えていた煙草に火をつけると、
一子はしげしげと火がついたばかりの煙草を見つめながら言った。

「いつからだったかなぁ……」

 慣れ親しんだ味、匂い、煙。
肺に入って混ざり吐息と共に紫煙を吐いて俺は空を見上げながら答える。
――嘘。口にしたのは答えではなくて誤魔化しだった。

「先輩。私、中学の頃から先輩の後輩なんですけど」

 屋上の雨風で汚れたコンクリートは薄く冷たい。
見上げたままの空模様も、俺が座ってるここと同じ様に汚い灰色で、
同じ様に薄ら寒かった。

「中学の頃のお前はもっと可愛げがあったなぁ……」

 イルカが吐く綺麗な空気の輪とは雲泥の差がある、
汚れた紫煙の輪をもっと汚れた空にはきだす。
風に流されて、一瞬で消えた。

「いつから煙草を吸うようになったんですか?
 高校時代には、そういうのに興味なさそうでしたけど」

 大方察しはついてますけど。とでも言いたげな表情で一子は俺をじっと見ていた。

「惚れた女が吸っていた。だから真似した」
「そうですか」

 
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