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「たー」

 昼。食事を終えて日課の読書に勤しむべく書斎に足を運ぶ私の耳に、
相変わらずの力が抜けるようなゆるいメイドの声が届く。

「……」

 渡り廊下を歩いていた私はその声に足を止め、
柔らかく吹く風になびく髪を押さえながら声の方へ目を向ける。

「ったー」

 見れば、私の世話係であり、幼馴染であり、唯一の友人であるメイドが
洗濯物を干している様であった。
高いところにある竿――と言っても他のメイドは難なく使用している――に
その低身長を最大限に伸ばして掛け声とともに白いバスタオルを一つずつ干していく様は
非常に微笑ましく、同時にとても危なっかしい。

「こけるなよ」

 と言おうとした矢先。

「うわー!」

 彼女は自分の着用している制服――所謂メイド服――の裾に足を引っ掛けて、
干したばかりの洗濯物共々地面に倒れ付した。

「……期待を裏切らないなぁ」

 背伸びして両手を掲げるような体勢をしていた所為で
受身も取れず顔面を強かに打ったメイドのもとにつぶやきながら駆け寄る。

「鼻血、でてるよ」
「あうっ、居たんですか」
「洗濯しなおしだね。これじゃ」

 言いながら散らばったタオルを拾い集める。

「手伝うよ」
「で、でも……」
「いいじゃん。たまには友達の仕事手伝ってもさ」

 くしゃくしゃになったタオルを抱えてメイドに向き直ると
彼女は申し訳なさそうに「すみません」といった。

「違うでしょ?」
「あ、ありがとうございます」
「まだ違う」

 メイドはきょろきょろと彼方此方を見回して、
困ったような笑みを浮かべながら頬を掻く。

「――ありがとう、なっちゃん」
「どういたしましてゆーちゃん」
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