これ、この毒々しいまでの紅い花あるじゃん、えっと……、リコリス?
 ……それは、単子葉植物網ユリ目ヒガンバナ科の彼岸花の事かな? リコリスはその英名だけれど……。

 というような会話を、相変わらず似合わぬ伊達眼鏡をかけた友人と交わしたのは、
確か先週だったように記憶している。
珍しくその日は友人宅へお邪魔し、その際にだされた座布団のカバーに感性を疑うような、
当人でさえ毒々しいと表する彼岸花が描かれていた。
その圧倒的な威圧感に私は一瞬だが座るのをためらった物だ。

 さて、豆知識だが、彼岸花には二つ花言葉がある。
 一つは再会。これは彼岸花としての花言葉。
 一つは悲しい思い出。これはリコリスとしての花言葉。
春と秋の季節にある彼岸、この花が咲くのは後者で、名の由来もそこにある。

 彼岸、彼方の岸。
 向こう側の岸。悲しい思い出。
 中々に暗喩的ではないか、と不謹慎にも物書きの性格でつらつらと物思いに耽る。

 話は飛ぶが飛行船、これは素晴らしい乗り物だ、非常に安全かつ快適らしい。
HからHeに内封気体を変更して以降事故の事例はほぼ皆無で、友人は飛行船を利用して
短期間の旅にでると言った際に私の蘊蓄を引用して再会をと彼岸花を寄越した。

 しかし、あぁ、しかしながら、君は彼岸花を最初になんと呼んだか?
リコリスの花言葉は悲しい思い出で。友人は別れ際にそれを私に託して、
そして彼岸に行ってしまった。彼方の岸へ行ってしまった。
飛行機の事故は宝くじを一枚買って一等に当たるより困難と言うなら、飛行船は?
座布団を指差して笑った友人は幸運にも不幸に見回れたのだろうか?

 とにもかくにも、友人の意図は裏切られ。彼岸花はリコリスとして私の元で枯れ果てる。
 黒く縁取りされた友人の写真を見て、やはり伊達眼鏡は似合わぬと思った。
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