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 空から女の子が落下してくる。
そんな始まりはとても非現実じみていて、
とても、運命的な、とても、素敵な雰囲気を伴っていて。
そしてなによりも衝撃的だった。
物語の始まりとしては、申し分なく、
故に使い古された感じですらあるジャンル。

 これ以上ない程の劇的な出会いかたである。
……無論、それは少女が飛行石を持っていたり、
少女に羽が生えていたり、少女が異常に軽かったり。
もしくは僕がとんでもない力持ちであったり、
不可解なトンデモ超常現象ぱわーを持っていたりしないと無理な出会いで。
つまりはフィクションだからこその出会いで。

「たすけて」

 僕の目が落下していく少女のそれとばっちり合って、
そんな風に唇が動いたような気がしたときにはすでに少女は
上質なミートパテに成り果てていた。

 劇的な出会いは、その直後にさらに衝撃的な別れを迎え、
甘酸っぱい香りのする恋愛物語は展開せず。
残ったのは血生臭い香りの後味だけ。

 ビクンビクンと蛙の足のように反射的な動きを繰り返す
ミートソースを見ていられなくなって、僕は目を上にやる。
高層ビルの屋上へ。本当にふと、目をやる。
僕が地面にたたきつけられる前に辛うじて少女と出会えた理由が
甲高い悲鳴が頭上から聞こえてきたからだ、とかは関係ない。

「あ」

 下を覗いている誰かと目が合った。
ような気がした。実際にはよく見えない。
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