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 磐城小石は有名だった。
同級生だけではなく、全校で。
学校内だけではなく、もっと広範囲にまで知れ渡った有名人。

 容姿が逸脱してる訳でもなく。
 発言行動が奇矯な訳でもなく。
 文武問わず成績が優秀な訳でもなく。
 由緒正しき家柄という訳でもなく。
 凄惨な過去を持つ訳ですらない。

 けれど磐城小石という人物は、
その存在感のみで有名だった。
あるいは存在そのものが。
とにかく、その磐城小石が保有する特殊性によって、
磐城小石は、自身の知らぬ人間に自分を知られているという
あがったかさがったか判断し辛い立場になった。

 磐城小石が持つ特殊性、
それは産まれた瞬間から始まった。
彼女はドッペルゲンガーと共に産まれたのだ。
世間一般的に言えば双子であるが、
しかし当然ただの双子では有名になどなりはしない。

 だから正確に言うと有名なのは磐城小石姉妹。
磐城姉妹ではなく、磐城小石姉妹。
姉の姓は磐城、名は小石。
妹の姓は磐城、名は小石。
二人で一人、一人が二人。
名前は体を、存在を現すなら、
これ以上同一の存在はこの世には存在しやしないだろう。
いや、だからこそやはり姉妹とつけるよりは
ただただ磐城小石と呼ぶほうが適切かも知れない。

 ともかく磐城小石姉妹。一つを二つに分け与えたかのように
自我も自意識も自己主張も、滅茶苦茶に希薄な彼女達。
けれどその存在感だけは、圧倒的だった。
特に、彼女達が常にべったりと揃って居るわけではないところが、
余計に揃ったときの存在感の異常さを助長させる。
一人ではまるで路傍の石の様にか細く消えそうな儚さを振りまきながら、
それが二人揃うと、否、一人揃うと途端に視界に入っただけで
脳に焼きつく強烈な畏怖をばら撒く。



 半分が二つ、二つで一つ。
天然のクローン磐城小石。
そんな戸籍上のどうこうや法律上のあれこれを完全に無視した彼女達と
同じ学校の同じ階層、そしてその半分と同じ教室で授業を受ける僕は
今日も授業のノートに彼女達を利用した入れ替わりトリックを考えている。


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