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「う」

 下校中、坂の途中で立ち尽くしている後輩を見つけた。
俺が忍び足で近づきその後頭部をポンと叩くと、
後輩は上のような呻きを上げて慌ててこちらを向いて構える。

「なんだその手は? 蟷螂拳か?」
「え、あ、先輩」

 不意に後頭部を叩いてきた不埒者が俺だと気づいて
目を開いて体勢を直し軽く頭をさげる後輩。

「なにを見てたんだ? 道端でボウッとしてると轢くぞ?」
「いや、そこは避けてくださいよ……」
「無理だ」

 嘆息をつき、その後付近の木に向き直る。

「くもの巣、見てたんです」
「くもの巣?」
「はい、今日の昼ごろ軽く雨が降ったじゃないですか」
「少しだけ天気雨が降ったな」
「それで、水玉がくもの巣について真珠のネックレスみたいで」

 丸く、規則正しく形作られたくもの居住スペース。
その節々の繋ぎ目にたまる大小様々な水滴が、日の光を反射してキラキラと光る。

「綺麗だな」
「へ!?」
「くもの巣が」
「あ、そ、そうですね……」
「……なに勘違いしてるんだ?」
「べ、べつにしてません!」
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