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「あなたの髪の毛と爪、あと体液をください」

 大学から帰る道すがら、曇天で時間以上に暗く見える空の下を歩いている時の事だった。
分厚い雲の下とは言えまだ雨の気配は遠いにも関わらず
大きな黒い紳士用傘を差して正面から歩いて来たセーラー服の女の子が
僕の行く手を遮るように立ち止まり、開口一番上記の台詞を口にした。

「あぁ、ご心配なく。爪は爪切りで切ったような欠片で構いません、
 髪の毛も数本で大丈夫です。生爪剥いだり髪の毛刈り上げたりする必要はありません」

 僕が呆然としているとその沈黙を一体どのように受け取ったのか
傘で顔を隠したまま少女は甲高く幼い声色で空恐ろしい言葉を続ける。

「体液というのは涙や尿、血液に精液などでお願いします。
 と言っても涙や尿は排泄物なので出来れば生命に直接関係する血液か精液が好ましいです」

 僕が黙り続けてるのを良いことに更に少女は続ける。
黙っているのは静聴しているのではなくただただ困惑しているだけなのだが、
傘で自分の顔を隠すと同時に僕の顔も彼女からは隠れて居るので彼女はそのことに気づきやしない。

「あー、ちょっと良いかな?」

 僕の事を異常に好いているのか殺したいほど恨んでいるのかはともかく
このままだとなぁなぁの内に僕は僕の身体の一部を怪しい儀式の材料として
提出してしまいかねないので無理に彼女台詞に自分の言葉を入れてみた。

「年頃の女子が精液とか平然と口にするのはどうかと思うよ?」

 馬鹿か僕は。
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