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 『かれんバタフライ』

 阿良々木火憐は僕にとって大切な妹だ。
もちろんもう一人の妹である月火も同様、
僕にとってかけがえのない自慢の妹達である。
それは妹達が生まれる前から、
そして僕が死に逝くその時も、
変わらないと断言できる数少ない事柄である。

 一見仲は悪くとも、しかし僕は本当に命をかけなければ
妹達を助けられないような状況になったら、
躊躇なく逡巡なく迷いなく戸惑いなく素直に命を投げ出せるほどに
それは強固で確固たる僕の矜持だった。

 なんてことを真昼間から堂々と言ってみると、
多分恥ずかしい奴だと僕が思われて終わりだろう。
妹達なんかは照れたり喜ぶよりも先に気持ち悪がるかもしれない。
「兄ちゃん馬鹿じゃないのか?」と火憐が呆れて、
「お兄ちゃん頭でも打ったの?」と月火が冷めたことを言う。
そういう兄妹関係だった。

 以前は。
 というのも、以前は上記のように
一見どころか百見したところで仲の悪い兄妹で、
僕は妹達のことを困った奴等だと呆れていたし、
妹達は僕のことを不甲斐のない兄だと哂っていた。

 だと言うのに、最近はそれが変わってしまった。
いや、なにも本気で互いを憎みあうほどに険悪な仲に悪化したわけではない、
むしろその逆だ。仲良くなったのだ。
けれどただ単に仲良し暦、ならぬ仲良しこよしになったのなら
変わってしまった、などと憂うようなことは言わない。
じゃあどうしたのか?

 簡単だ、仲良くなりすぎたのだ。
仲良くなりすぎて、それはいつ一線を超えるかという
危険思想にすらなりつつある。
そんな細い糸の上のやじろべえ見たいな兄妹関係。

 阿良々木火憐は、本気でこの僕、
阿良々木暦に恋慕の情を抱いてしまった。
そして阿良々木月火はそれを知ってしまっている。
ちょっと前までは考えられないほどの、
仲良くなってしまったからこその緊迫感。

 このただでさえ複雑な兄と妹の問題は、
さらに怪異をもってしてさらにおかしく破綻する。
ぎりぎりの平衡を保っていたトランプのタワー、
もしくはジェンガや類するなにかのように、
一瞬で、砕け散ったのだ。

 僕に限らず、誰しも自身の家族のことは語りたがらない。
それは僕自身以前口にした言葉だ。
特にこの話はストレートにプライベートな物語、
だけれど敢えて僕はここに全てを語ろうと思う。

 それがなにを招こうとも、
今回のような事態を二度と起こさないために、
僕は僕の、僕達兄妹の恥の全てをここに記そう。
そうすることで、一つのけじめをつけよう。
でなければ、きっと一つも前には進めないだろうから。

 先に申してしまえば、
この話に終わりなどない。
ハッピーエンドもトゥルーエンドもない、
バッドエンドすら欠片も見えない。
ただただあるのは中途半端な解決と曖昧模糊とした解釈、
それだけだ。
この話を終えたところで僕達兄妹の関係を清算することはできなかったし、
きっとこの先何年もかけて大人になってからもぐずぐずと滞るだろう。

 それでいい、兄と妹というのは、
きっと、そういう関係のことだと、僕は思うから。

 さて、前振りが長くなってしまったけれどそろそろ始めようと思う。
僕と妹の、盛大な故意の恋話を。
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