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 歌が聞こえた気がした。
子供の頃、日が沈む時間、どこからか聞こえてきたあの歌が。

 とても綺麗な歌声だった。
人魚が歌っているのではないかと思うほどに。

 僕はそれに釣られる漁師の様に、
いつもの散歩コースを外れて近くの公園に歩いていく。

「……~~♪」

 だんだんとはっきり聞こえる歌。
いや、近づいてわかったけれどこれは正確には歌じゃない。
歌詞なんてなく、メロディを口ずさんでいるだけ。
僕の記憶の中にも歌詞はないし、もしかしたら歌詞のない曲なのかもしれない。

「~~♪」

 涼しげで、凛として、穏やかな気持ちになる声。
どこかで聞いたことのあるような声。
その声の持ち主の背中が見えた。

 声を掛けたい衝動に駆られたけれど、
そしたらきっと歌は止まる。
だから僕は黙って少し離れたベンチに腰掛けて
その人をただ黙って見つめ続けていた。

 影が伸び、辺りが暗くなるまでその人は歌い続けていた。
それを僕はただただ眺めていた。

 やがて、僕は自分が泣いてる事に気がついた。
そして同時にこの歌が悲恋の曲であることを思い出した。

 恋に破れたのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
勝手に僕が想像を膨らましすぎたのかもしれない。
わかっていても涙が止まらなかった。悲しいわけでもないのに。

 その人は歌い続けて、僕は泣き続けた。
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 前者はともかく後者はついこの間知りまして、
 自分が幼少の折にはオカマの日とか言ってたなぁとか思いまして、
 オカマの日より男の娘の日のほうが聞こえがいいなぁとか思うのはもうダメですかそうですか。

 とにかく、そんな話を聞きまして、
 嘘で男の娘な四月のお話を書いてみまして、
 以下より始まるみたいです。

 男の娘を書くのは初めてでして、
 なんか違う気もしまして、
 でもまぁ勘弁してください (ゝω・)V

「わ」

 驚いたような。感心したような。
小さな声がしてふと顔を向けると、
湯江が街路樹を見上げて立ち止まっていた。
蛾の卵でも見つけたのだろうかと思いつられて見上げる。

「うえ」

 青々とした葉の裏に大量に張り付いた蝉の抜け殻。
一つの葉に驚く無かれ三つから四つの抜け殻が張り付いている。
もはや葉の色よりも抜け殻の茶色い色の方が面積が多い程に。

「気持ち悪いねぇ……」
「かわいいねぇ……」

 同時に感想を口にして。

「ん?」
「え?」

 同時に顔を見合わせた。


―――

 この間びっしり抜け殻ついてんのをリアルで見て
正直かなり気持ち悪かった

 抜け出す瞬間もこの間初めてリアルで見た
そっちはなんか少し感動した

四回、ドアをノックする音がした。
僕は部屋を片付ける手を止めて、時計を見る。
23時20分。日付が変わる四十分前だ。

 僕は何も言わず玄関に向かい扉を開ける。

「Trick or treat!」

 とがった尻尾に小さな羽根、
黒い衣装を身にまとって、三又の槍を持ったとても可愛らしい小悪魔が
お菓子の詰め込まれたJack-o'-lanternを手に
ちょこんと澄まして立っていた。

「はいはい。……随分遅かったねマリー」
「お母さんに無理言ったの。ほら、明日は諸聖人の日でお休みだから」
「ふぅん。でも意外だな、マリーなら朝一番に来ると思ったけど」

 言ってお菓子を詰めた袋をマリーにはいと差し出す。

「うん、本当は一番にお兄さんの所に来ようと思ってたんだけど。
 ジャン達が昨日の夜から待機して三十一日になったと同時に
 お兄さんの所に行ったって聞いたから、じゃあ私は最後に行こうと思って」

 マリーはお菓子の袋を受け取らないで微笑む。

「あぁ、あれには参ったよ。
 あのタイミングで来るとは思ってなかったから見事に悪戯をされた」
「なにをされたの?」
「部屋を随分と荒らされた。まだ片付いてないよ」

 ほら、と身体をずらすとマリーは覗き込んで子猫のように喉を鳴らして笑った。

「じゃあ私も手伝うわ」
「気持ちはうれしいがそれは駄目だ。お母さんが心配して待ってる」
「大丈夫よ。私がここにいるのも知ってるし」
「だから心配すると言ってるんだよ」
「お母さんはお兄さんの事を信頼してるわ」
「……けどね、マリー」
「じゃあじゃあ、あと少しだけお話に付き合って」
「はぁ、仕方ないね」

 僕は一向に受け取ってもらえないお菓子の袋を一旦靴棚の容器に戻して、
マリーを家に招きいれる。

「紅茶でいいかい」
「砂糖とミルクいっぱいね!」
「わかった」


―――

 壁掛け時計の音が、大きく低く部屋に響いた。
12時の合図。日付変更の合図。

「あっ、もうこんな時間。そろそろ帰らなくちゃ」

 持っていたティーカップが置かれ、
カチャンと食器が触れ合う音。

「しまった。おしゃべりに夢中になりすぎたな、
 こりゃ明日……いや、今日は君のお母さんに怒られる」
「平気よ、私が我侭言っただけだもの」

 流石に隣でも送ったほうがいいだろうと薄い上着を手に取り
駆け足で玄関に向かう彼女を追う。

「マリー、忘れ物」

 玄関前の階段を軽快に飛び降りるマリーに先ほどおいたお菓子の袋を再び差し出す。

「っと、そうだった……」

 それを受けて彼女はくるっとこちらに振り替えり、
とんとんと階段を上って。

「えいっ」

 ――僕にキスをした。

「っ……、マリー、いま、なにを……」
「あら、ハロウィンにお菓子をもらえなかった子供は
 報復の悪戯していいのよ? 知らなかった?」

 呆然とする僕の手からお菓子を奪い、
後ろで手を組み、上目遣いに舌を出して微笑む彼女は、
それはもうまさに小悪魔といった感じだった。

 風鈴。蝉。葉鳴り。扇風機。
夏を彩る色々な音。合わさって、とてもノスタルジックな気分になる音。

「あ゛~~」
「うるさいよ姉さん」

 僕は縁側に座って足元の蟻の行列を眺めながら子供っぽい姉に言った。
夏を彩る音に、姉のぶれた音声はいらない。

「あ゛~~~?」
「うるさいって言ったんだよ姉さん。もう少し静かにしてよ」

 遠い空には白い入道雲が不戯気てるとしか思えないサイズで浮いていて、
きっとあの中にはラピュタがあるんだと、僕は今でも信じている。

「あ~……あっつい。エアコンもないなんて、本当に田舎」
「姉さんは都会っ子だからなぁ」
「同じ家で暮らしてるくせにゆうは慣れてるねぇ」
「自分の部屋のエアコンが壊れたからって僕の部屋のエアコンを
 勝手に持って行くような姉と暮らしてるからね」
「なぁんだ、私のおかげか」
「そうだねぇ」

 会話がとまると同時に、風鈴が風にのって涼やかな音を凛と奏でる。
少し離れた場所に流れる川の音も、風にのって聞こえた。

「カキ氷食べた~い」
「また? お腹を壊すよ?」
「う~ん。じゃあスイカ」
「また? お腹を下すよ?」
「じゃあ素麺」
「お昼に食べたでしょ」
「そうだったー!」

 タンクトップにハーフパンツという、
ある意味制服とも言えるルックの姉。
お腹を出して本当にだらしない。

「よし、川に行こう。浅いし綺麗だし冷たいらしいし」
「いいよ」
「あや、素直だね」
「僕も行こうかなって思ってたしね」

 水面に反射する太陽、キンと澄み通って痛いほどに冷たい水。
一年に一度しかこれない僕のお気に入りの場所でもある。

「それに、川に行けばたぶんユキとかタカとかもいるだろうし」
「……こっちの友達だっけ?」
「うん」
「社交性高くて羨ましいッスわー」
「そっかな」
「あたしは無理無理かたつむりだからね」
「姉さんの外での会話は“え?”“あ……うん”“はは……”で全て表現できるよね」
「はは……」

 サァと風が吹いて、雲が流れていく。
風鈴がチリンチリンと耳に心地よい音を流す。

「……まぁ、明日で良いか」
「え? 宿題?」
「違うよ。宿題は終わらせた。川に行ってみんなに会いに行くのを明日にしようって」
「なんで?」
「僕が友達と遊んでたら姉さん一人じゃん」
「あ……うん」
「別に急がなくても、夏は長いしね……」

 扇風機の風に流れて髪が頬をくすぐった。


――――

 あまりにも暑くてすげぇ日焼けしながら妄想した理想の夏。
俺って基本的に年下好きの妹好きなんだけど夏を妄想するとこういう姉がどこからかひょっこりでてくる
不思議だなぁ
 

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