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さっさと進もう  十一音目

「さっ♪」

「さっさっ♪」

 メイドが楽しそうに鼻歌を歌いながら竹箒を操っている。
まるで落ち葉と十年来の友人で、枯葉を集める行為が
「この指止まれ!」と自分の下に呼び集めているかの様で。
私はそんな親友の姿を木陰で本を読みながら時折眺めては
微笑を漏らし本に戻る。

「ふぅ……。大体これくらいでしょうか?」

 どれ位経っただろうか、
私が手に持っていた本を半ば程迄読み進んだ頃合で
メイドが手の甲で額に滲んだ汗を拭いながら山盛りの落ち葉の前で呟いた。

「そうだね。うん、それくらいあったら十分だと思うよ」
「じゃあ落ち葉集めはもう終わりですか……」
「なんで残念そうなのさ」

 本を閉じ、幾分傾いた太陽の光に照らされた落葉山。
私は労働を終えたにも関わらず名残惜しそうにするメイドに
苦笑を漏らしながら、本を読んでいる間傍らにおいてあった袋から
各方面予想通りの薩摩芋を取り出すと
途端に手の平を返して目を輝かせるメイド。

 私は芋を落ち葉の中に深く沈めながら、
スカートにポケットに入れていたマッチで集まったメイドの友人達に火をつけた。
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  • このエントリーのカテゴリ : 五十音

Comment

No title

友人燃やすのかよΣ

No title

一瞬驚いたけどいい表現だなw


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